キオクシアの四半期業績、過去最高の売上高と営業利益を記録:福田昭のストレージ通信(270)
今回は、キオクシアホールディングスの2024会計年度(2025年3月期)第2四半期(2024年7月〜9月期)の連結決算概要を報告する。
売上高は前期に続いて過去最高を更新
フラッシュメモリ大手キオクシアの持ち株会社であるキオクシアホールディングスは2024年11月8日に2024会計年度(2025年3月期)第2四半期(2024年7月〜9月期)の連結決算概要を公表した。キオクシアホールディングスとキオクシアは、東芝がフラッシュメモリ事業を2018年6月1日に投資ファンドなどに売却することによって誕生した。2019年10月1日には会社名を「キオクシア」に変更した。なお現在も東芝は、キオクシアホールディングスの株式の約40%を所有する最大株主である。ただし、東芝はキオクシアグループの経営と執行には一切関わっていないので留意されたい。
2024会計年度第2四半期(2024年7月〜9月期)の売上高は前期(前四半期)比12%増、前年同期比99%増の4809億円である。前期に続いて四半期売上高は過去最高を更新した。前期比は4四半期連続で増加した。前年同期比は3四半期連続で大幅なプラスとなった。
同期の営業利益は前期(前四半期)比32%増の1660億円。前年同期は赤字だった。営業利益は過去最高(過去の記録は2018年1月〜3月期の1564億円)を更新した。需給バランスの改善によって単価が上昇したことと、エンタープライズSSD向けを中心にフラッシュメモリの出荷数量が増加したことにより、増収増益となった。
出荷記憶容量の拡大と単価の上昇が続く
記憶容量(ビット)換算の出荷数量は前期(2024年4月〜6月期)が前期比で10%台前半の増加、今期(2024年7月〜9月期)が同10%前後の増加である。フラッシュストレージに対する需要が順調に拡大していることがうかがえる。
記憶容量当たりの販売単価(円ベース)は、前期(2024年4月〜6月期)が前期比で20%前後の上昇、今期(2024年7月〜9月期)が同1桁%台半ばの上昇と値上がりペースが鈍ってきた。なお記憶容量当たりの単価は2023会計年度第2四半期(2023年7月〜9月期)以降、5四半期連続で上昇が続いている。これはかなり異例のことだ。しかもNANDフラッシュメモリ大手各社は「規律ある投資が継続しており」(キオクシアの今期決算資料から)、増産によって需給バランスが急速に緩むことは考えにくい。
2024会計年度第2四半期(2024年7月〜9月期)の業績ハイライト(出荷記憶容量と販売単価)[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2024年11月8日公表の連結決算説明スライドから)
市場動向では、データセンター分野とエンタープライズ分野による大容量ストレージの需要が高まっていること、人工知能(AI)搭載PCとAI搭載スマートフォン、AI関連サービスの普及が期待できることなどから、フラッシュメモリ市場は中長期的な成長が見込まれるとする。
(次回に続く)
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