20Mbps対応のCAN XL用トランシーバーを世界初公開、Bosch:2025年1〜3月にサンプル出荷
Robert BoschがCANプロトコルの第3世代である「CAN XL」用で、最大20Mbpsのデータ転送速度をサポートする、CAN SIC XLトランシーバー「NT156」を世界初公開した。2025年第1四半期のサンプル出荷を予定している。
Robert Bosch(以下、Bosch)はドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」(2024年11月12〜15日)に出展。車載ネットワークで標準的に使用されているCANプロトコルの第3世代である「CAN XL」用で、最大20Mビット/秒(Mbps)のデータ転送速度をサポートする、CAN SIC(信号改善機能) XLトランシーバー「NT156」を世界初公開した。
CANネットワークは、その堅ろう性やコスト効率、シンプルさ、ネットワークトポロジーの柔軟性から、依然として根強く支持されていると。同時に、新しいE/Eアーキテクチャにおいては、大容量データの高速伝送がますます重要になっている。
そうした中で、CANの第3世代であるCAN XLプロトコル(ISO 11898-1:2024)は、既存のCANおよび、CAN FDと互換性がありながら、最大20Mbpsという高速化が実現できる。IP(Internet Protocol)などの上位層プロトコルも使用可能。有効データ長は最大2048バイトあり、Ethernetトンネリングによって同じネットワークでCANとEthernet通信が使用できる。CAN XLは、既存のCANインフラストラクチャが活用でき、低い導入コストで高速なデータ伝送を実現できるとして期待されている。説明担当者は、「自動車メーカーは同じ配線で従来のCAN FDを用いつつ、CAN XL搭載の新たなコントローラー追加によってCAN XLの通信を実現でき、さらに他のプロトコルも追加できる」と強調した。
今回、Boschが「世界初公開」したのは、このCAN XLで最大20Mbpsのデータ転送速度をサポートする、CAN SIC XLトランシーバー「NT156」だ(概要は下図)
Boschのブースでは、NT156の実物および、同機能の開発品を搭載した評価ボードによるデモを展示。カメラで撮影したデータをEthernetトンネリングによってCAN XL経由でツイストペアケーブルを介して送信し、モニターに表示する様子を紹介していた。
Boschは、NT156について、2025年第1四半期のサンプル出荷を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
自動車の末端までマイコンいらずでイーサネット接続、ADIの独自技術
アナログ・デバイセズ(ADI)は「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」に出展し、同社の独自技術「E2B」(Ethernet to the Edge Bus)を紹介した。自動車の末端部分までをイーサネットで接続し、通信遅延を抑制できるという。NXPがS32プラットフォームを拡充、BLDCモーター制御用SoCを追加
NXP Semiconductorsが車載用のプラットフォーム「S32」シリーズを拡充し、ブラシレス直流(BLDC)モーター制御向けのSoC(System on Chip)「S32M2」を発表した。これにより、今後の車載アーキテクチャに対応できる製品が一通りそろったとする。「業界初」10BASE-T1S用コモンモードフィルター、TDK
TDKは2023年2月7日、車載Ethernet規格10BASE-T1Sに業界で「初めて」(同社)対応したコモンモードフィルター「ACT1210Eシリーズ」を開発し、量産開始したと発表した。PCM搭載の車載マイコン、OTAのソフト更新が高速に
STマイクロエレクトロニクスは「第15回 オートモーティブワールド」で、相変化メモリ(PCM)を内蔵した車載用32ビットマイコン「Stellar」のデモを展示した。マイコン不要でイーサネット化、車載用の接続技術
アナログ・デバイセズ(ADI)は「第15回 オートモーティブワールド」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)で、自動車向けの最新技術などを展示した。「CAN-XL」搭載の車載用マイコン、STが発表
STマイクロエレクトロニクスは、次世代のeドライブトレインなどに対応する車載用マイコン「Stellar P6シリーズ」を発表した。新しい車載通信プロトコル「CAN-XL」を搭載し、2024年モデルの自動車向け認定を取得しているという。