20μmの「極薄」パワー半導体ウエハーを初公開、Infineon:AIサーバ用途の活用を強調(2/2 ページ)
Infineon Technologiesはドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」において、厚さ20μmと「世界最薄」(同社)の300mmパワー半導体ウエハーを初公開した。同技術は既に認証済みで、Infineonのインテグレーテッドスマートパワーステージ(DC-DCコンバーター)に採用され最初の顧客に納入されている。
薄型化による破損リスク、課題への対応は?
同社は技術の詳細については明かしておらず、リリースでは、ウエハー厚を20μmまで薄くする技術的ハードルを克服するために、「革新的でユニークなウエハー研磨アプローチを確立する必要があった。これは、薄いウエハーの裏面のハンドリングと加工に大きく影響する。ウエハーの反りやウエハーの剥離といった技術的/生産的な課題は、ウエハーの安定性や優れた堅ろう性を確実にする後工程の組立プロセスに大きな影響を与えることになる」などと説明していた(下記記事参照)
Infineonは、薄型化による脆弱性の課題について、EE Timesの姉妹紙Power Electronics Newsの取材に対し、ウエハー破損のリスクを最小限に抑えるために、特殊なハンドリングと処理技術を開発したと明かした上で、「当社の先進的なウエハーハンドリングシステム、最適化された洗浄/ドライプロセス、専用装置は、特に薄型ウェハー用に設計されている」などと説明。アセンブリとパッケージングのイノベーションの面では、超薄型ウエハーがもたらす構造上の課題を克服するための独自ソリューションを導入しているという。「3Dスタッキングやチップ埋め込みパッケージングなど、当社の高度なパッケージング技術によって、ウエハーの損傷リスクを軽減しながら、コンパクトでパワフルなデバイスを実現できる」などとコメントしている。
同社は、この超薄型ウエハー技術について「Infineonの既存製造ノウハウ上に構築されている。製造の複雑さを増すことなく、新技術を既存のシリコン量産ラインにシームレスに統合可能で、高い歩留まりおよび供給の安全性も実現する」と説明している。Infineonのパワー&センサーシステムズ(PSS)事業部プレジデントを務めるAdam White氏は今回、「追加の複雑さ(complexity)はない。われわれは現在、これ(20μmウエハー採用品について)を、従来と同じ価格レベルで出荷している」と語っていた。
シリコン、SiC、GaN全てで大きな強み
Infineonではこうしたシリコンパワー半導体に加え、「世界で最も競争力のある」(同社)200mmウエハー工場を有するSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、そして直近で300mmウエハー技術も発表したGaN(窒化ガリウム)パワー半導体の全てを有していて、それぞれで幅広いポートフォリオや高い品質、性能、コスト効率などの強みを有するとしている。
同社は、この3技術が適する各分野において強みを生かして市場への展開を強化していく方針だ。
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