東芝マテリアルを1500億円で売却 日本特殊陶業に:パワー半導体向け放熱基板など手掛ける
東芝が、完全子会社である東芝マテリアルを日本特殊陶業に売却すると発表した。売却価格は約1500億円で、2025年5月30日に実施予定だ。
東芝は2024年11月25日、子会社の東芝マテリアルの全株式を日本特殊陶業に売却すると発表した。売却価格は約1500億円で、2025年5月30日に株式譲渡を実施予定だ。東芝は、「日本特殊陶業が、東芝マテリアルの持つポテンシャルを最大限に発揮できるリソースを有するベストパートナーだ。日本特殊陶業の下でシナジーを追求することが東芝マテリアルの企業価値向上につながると判断した」などとコメントしている。
窒化ケイ素ボール、窒化ケイ素セラミックス基板など展開
東芝マテリアルは2003年10月に設立した東芝の完全子会社。同社は、東芝の材料事業から発展し、ブラウン管用金属材料、蛍光灯やカラーテレビ、医療設備などに使用される蛍光体材料、航空機や電気自動車などに使用される窒化ケイ素部品など、独自の技術を生かした機能材料/部品を手掛けてきた。
中でも、ファインセラミックス製品である窒化ケイ素ボールは、電気自動車、工作機械、風力発電機、鉄道車両など、高速回転や耐電食が求められる各分野のベアリングボールとして多くの実績があり、世界で高いシェアを有しているという。また、パワー半導体などに用いられる窒化ケイ素セラミックス基板も手掛け、「旺盛な需要から成長が見込まれている」(同社)としている。同社の2024年3月期の連結売上高は345億4000万円、連結営業利益は54億8600万円、純利益は33億3200万円だった。
両社のシナジーへの期待
日本特殊陶業は、セラミック素材技術をコアコンピタンスとして、主力の内燃機関事業を強化すると同時に、非内燃機関事業の規模拡大も図る両軸での事業展開を戦略テーマとし、新規事業創出に取り組んでいる。新規事業では「環境・エネルギー」「モビリティ」「医療」「情報通信」の4分野を注力領域としていて、東芝は「これらの領域において、東芝マテリアルも材料設計/プロセス/製品応用技術を保有していて、日本特殊陶業と東芝マテリアルのセラミック技術の融合、グローバルな顧客基盤の拡充やサポート体制の強化といったシナジーが期待できる」と述べている。
日本特殊陶業は、「東芝マテリアルが車載、半導体、医療、環境エネルギー分野などで長年培ってきた材料設計技術、プロセス技術および製品応用技術などを活用でき、東芝マテリアルにおいては、当社の持つセラミック技術との融合ならびにグローバルネットワークの活用を通じた顧客基盤の拡充/サポート体制強化が期待できるなど、さまざまな面においてシナジーを実現できると判断した」と買収理由を説明している。
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