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「ISSCC 2025」論文投稿数は過去最高、中国がさらに躍進:日本は「メモリや無線に強み」(2/2 ページ)
半導体集積回路の国際学会「ISSCC 2025」への論文投稿数は、過去最高の914件だった。採択された246本のうちアジアからのものが165件あり、最多は中国の92件だった。
採択数はアジアが全体の3分の2 最多は中国
今回は17の国と地域からの論文が採択された。採択数を地域別に見ると、アジア(ISSCCではFE[Far East]と表記)が165件と最多で、全体の3分の2以上を占めた。アジアの採択数は前回から17件増加したのに対し、北米は7件、欧州は2件減少した。
国/地域別に見ると、前回に続いて中国(香港/マカオ含む)が大学を中心に今回も採択数を伸ばした。中国の採択数は92件と、続く米国(55件)、韓国(44件)に大きく差をつけた。いずれの地域でも採択論文は大学からのものが増加傾向にあり、企業からのものは減少傾向にあるという。
「中国は投稿数が多いだけでなく、レベルも非常に高い。複数の論文が採択された大学も多く、国内で高いレベルの研究者が再生産されているといえる」(宮地氏)
日本は3件減少、「メモリや無線に強み」
日本からの論文の採択数は8件で、前回より3件減少した。複数の論文が採択されたのは東京大学/東京科学大学/キオクシアで、それぞれ2件採択された。他に、ソニーセミコンダクタソリューションズと大阪大学の論文が1件ずつ採択された。
なお、第一著者が他国所属であるため日本の論文としては数えないが、Brillnics、慶應義塾大学、TSMCデザインテクノロジージャパンも採択された論文に携わった。
宮地氏は日本の採択論文の傾向について「これまで同様、メモリや無線、イメージング、テクノロジーディレクションに強みがある」と説明した。
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