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生体神経組織の動作を模倣するトランジスタを開発ゆっくりした動作で超低消費電力(2/2 ページ)

産業技術総合研究所(産総研)と東京大学、九州大学、兵庫県立大学、名古屋工業大学らによる研究グループは、生体神経組織の動作を模倣できるMOSトランジスタの動作実証に成功した。従来のCMOSトランジスタに比べ100万倍以上もゆっくり動作し、消費電力は500pWと極めて小さい。

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ニューラルネットワークの構築にも適する

 開発したリーク積分トランジスタは、人工的に生体神経系の動作を模倣したニューラルネットワークの構築に適しているという。今回は、ランダムに接続された256個のニューロンとシナプスからなるニューラルネットワークを想定して、リザバー計算という枠組みで学習と推論を行った。

 開発した「遅い」素子を想定したシミュレーションでは、2人が書いた三角形の図形の中から、1人の図形のみを学習させて筆跡鑑定を行ったところ、別の人が書いた図形を「筆跡の異常」と判断した。ゆったりとした素子動作が今回のポイントで、10万倍速い素子を想定したシミュレーションでは、異常検知に失敗した。

ニューラルネットワークを利用した筆跡の異常検知のシミュレーション
ニューラルネットワークを利用した筆跡の異常検知のシミュレーション[クリックで拡大] 出所:産総研他

 今回の研究は、産総研電子光基礎技術研究部門強相関エレクトロニクスグループの井上悠研究員と井上公上級主任研究員および、東京大学や九州大学、兵庫県立大学、名古屋工業大学らが共同で行った。

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