600℃でCOからカーボンブラックを大量に合成:CO2排出量を従来の1/10に低減も(2/2 ページ)
東京科学大学(Science Tokyo)は、プラズマ流動層反応装置を用い、約600℃の低温でCOから電気伝導性が高いカーボンブラックを連続かつ大量合成することに成功した。合成プロセスにプラズマで発生する熱などを有効利用できれば、CO2排出量を従来の10分の1に低減できる可能性もある。
コイル状に湾曲、「母材との接着強度が増す」効果も
カーボンブラックは、熱反応で合成すると繊維状の構造となる。ところが、プラズマを作用させると、カーボンブラックと触媒の界面で引っ張りや圧縮などの応力が不均衡に発生し、コイル状に湾曲したカーボンブラックが選択的に生成されることも分かった。湾曲構造になることで、「比表面積の増大」や「母材との接着強度が増す」といった効果も期待できるとみている。
プラズマ反応で合成したコイル状カーボンブラックのラマン散乱スペクトルを観察すると、グラファイト構造を示す「G-bandピーク」や、グラファイトが層状になっていることを示す「2D-bandピーク」を確認できた。市販の高電気伝導性カーボンブラック(ファーネスブラック)では、グラファイト構造の欠陥を示す「D-bandピーク」が、「G-bandピーク」より大きく、コイル状カーボンブラックに比べるとグラファイト結晶サイズが小さいことを確認した。しかも、グラファイトの層状構造は形成されていないことも判明した。
さらに研究グループは、コイル状カーボンブラックとファーネスブラックをそれぞれ用いたリチウムイオン電池用の電極を作成し、充放電特性を評価した。この結果、コイル状カーボンブラックを用いたリチウムイオン電池が高い性能となった。
研究グループは今後、CO2電気分解反応などと組み合わせてCO2-to-Cを実現するプロセスを開発していく。その上で、多量に排出されるCO2をカーボンブラックに変換できる大型装置の開発や、合成されたカーボンブラックの需要開拓に取り組んでいく。
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