ローム、TSMCと車載GaN開発/量産で提携強化:車載GaNの普及を促進
ロームは2024年12月10日、TSMCと車載GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスの開発と量産に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
ロームは2024年12月10日、TSMCと車載GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスの開発と量産に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表した。ロームのGaNデバイス開発技術とTSMCのGaN on シリコンプロセス技術を組み合わせ、高電圧/高周波特性のパワーデバイスに対する需要の高まりに対応していく。
ロームは2022年、GaNデバイス製品の第1弾として、150V耐圧のGaN HEMTの量産を開始し市場に参入。2023年には650V耐圧品の量産を開始したほか、LSIを同梱したSiP(System in Package)のラインアップ拡充も進めるなどGaNパワー半導体の展開を加速してきた。
同社は今回の発表について、「本パートナーシップは、TSMCのGaNパワーデバイスにおける協力の歴史に基づいている。2023年には、ロームがTSMCの650V GaN HEMTプロセスを採用し、ロームの『EcoGaN』シリーズの一部として、Delta ElectronicsのブランドであるInnergieの45W ACアダプター『C4 Duo』をはじめ、民生品および産業機器での活用が既に進んでいる」などと述べている。
ロームの取締役 専務執行役員である東克己氏は、「高周波動作が可能なGaNデバイスは、小型/省エネ化で脱炭素社会の実現に貢献できるため、大きな期待が寄せられている。これを社会に実装するためには、信頼できるパートナーが重要で、世界トップの先進的な製造技術を持つTSMCと協力できることを非常にうれしく思う。本パートナーシップに加え、GaNの性能を最大限発揮する制御ICも含めた、使いやすいGaNソリューションを提供することで、車載分野でのGaNの普及を促進していく」と述べている。
TSMCのスペシャルティテクノロジー事業開発部門シニアディレクターを務めるChien-Hsin Lee氏は、「GaNプロセス技術の次世代化を進めるなかで、TSMCとロームは車載アプリケーション向けGaNパワーデバイスの開発と製造に協業の範囲を拡大する。TSMCの高度な半導体製造技術と、ロームのパワーデバイス設計技術を組み合わせることで、GaN技術の限界を押し広げ、電気自動車(EV)への実装を推進していく」とコメントしている。
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