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半導体応用も可能な二硫化モリブデンナノリボンを合成水素発生で白金触媒の代替に(2/2 ページ)

九州大学や名古屋大学、東北大学らによる研究グループは、二硫化モリブデンの極細構造(ナノリボン)を、化学蒸着法により基板上へ高い密度で成長させることに成功した。このナノリボンは、水素発生で高い触媒活性を示し、電子移動度の高い半導体としても活用できることを示した。

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次世代半導体のチャネルとして応用も

 半導体材料としての電気特性も調べるため、MoS2ナノリボンをサファイアa面からシリコン基板に転写してデバイスを作製した。この結果、110nm幅の細いナノリボンで、トランジスタ動作を確認した。電子移動度も44cm2/Vsと高い値となった。さらに、このデバイスを4.2Kという極低温に冷却して動作させたところ、ナノリボンが複数の量子ドットとして振る舞う「クーロンダイヤモンド」と呼ばれる特性が得られた。このことは、MoS2ナノリボンが、次世代半導体のチャネルとして応用できることを示すものだという。

上段はMoS2ナノリボンを半導体チャネルとしたトランジスタの構造と実際の電子顕微鏡像。左下は室温でのトランジスタ特性。右下は極低温(4.2K)で得られたデバイス測定の結果[クリックで拡大] 出所:九州大学他
上段はMoS2ナノリボンを半導体チャネルとしたトランジスタの構造と実際の電子顕微鏡像。左下は室温でのトランジスタ特性。右下は極低温(4.2K)で得られたデバイス測定の結果[クリックで拡大] 出所:九州大学他

 なお、今回の実験ではMoS2の他に、二硫化タングステン(WS2)でもナノリボンを作製。MoS2の周囲にWS2を合成したヘテロ構造ナノリボンの合成にも成功している。

 今回の研究成果は、九州大学大学院総合理工学府博士課程のマ・ゾンペン大学院生、同大学院総合理工学研究院のパブロ・ソリス-フェルナンデス特任准教授、吾郷浩樹主幹教授、名古屋大学大学院工学研究科の高橋康史教授、東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の加藤俊顕准教授、筑波大学数理物質系の岡田晋教授、大阪大学産業科学研究所の末永和知教授、産業技術総合研究所の林永昌主任研究員、京都大学エネルギー理工学研究所の松田一成教授および、熊本大学大学院先端科学研究部の原正大准教授らによるものである。

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