次世代電池市場が2045年に10兆2472億円規模へ:全固体電池、xEV向けで市場拡大
富士経済は、全固体電池やナトリウムイオン二次電池といった「次世代電池」について、2045年までの世界市場を調査した。これによると、全固体電池を中心に次世代電池の世界市場規模は、2024年見込みの1218億円に対し、2045年は10兆2472億円規模に達すると予測した。
全固体電池、将来は「硫化物系」が「酸化物系」を上回る予想も
富士経済は2025年1月、全固体電池やナトリウムイオン二次電池といった「次世代電池」について、2045年までの世界市場を調査し、その概要を発表した。これによると、全固体電池を中心に次世代電池の世界市場規模は、2024年見込みの1218億円に対し、2045年には10兆2472億円規模に達すると予測した。
今回の調査では、「全固体電池」で硫化物系や酸化物系など4品目、「ポストリチウムイオン二次電池」としてナトリウムイオン二次電池など5品目、リチウムイオン二次電池とは異なる材料や電池構造を採用した「新型二次電池」で9品目を対象とした。調査期間は2024年8〜12月。
次世代電池の中で現在、圧倒的な市場を占めるのは「全固体電池」である。2024年見込みの1158億円に対し、2045年は8兆7065億円規模が予測されている。全固体電池市場を固体電解質別にみると、現在は市場の約99%を占めるのが「酸化物系」で、2024年の規模は1143億円となっている。電動車(xEV)に加え電動二輪車などへの採用も本格化する見通しから、2045年は2兆8820億円規模に拡大すると予測されている。
2020年後半より市場が拡大するとみられているのが「硫化物系」である。高容量で大出力が得られることから、xEVで大型品の採用が本格的に進むとみられている。このため、固体電解質の増産に向け、生産体制を増強しているという。中小型品は電動二輪車やドローン、AGVなどで採用が始まっている。将来的には「硫化物系が酸化物系の市場を上回る」との見方もある。
ナトリウムイオン二次電池の世界市場は、2024年見込みの60億円に対し、2045年は1兆3473億円と予測した。レアメタルフリーで資源リスクやコスト低減が可能なため、現行のリチウムイオン二次電池に比べ優位性がある。
2020年代にはリチウムイオン二次電池のコストを下回るとともに、層状酸化物系やポリアニオン化合物系による正極材料を用いることで性能も向上し、鉛蓄電池などからの代替需要が期待できるとみている。2030年以降には、エネルギー密度が200Wh/kg以上で、鉛蓄電池並みのコストを達成できる見通し。これにより、産業用車両などへの採用が進むとみられている。
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