赤字見通しのローム、新社長に東克己氏 「痛みを伴う改革も必要」:人員削減の選択肢も
ロームは2025年1月、社長の交代を発表した。現職の松本功氏に代わって、東克己氏が就任する。2024年度通期業績が赤字の見通しとなったことを踏まえ、構造改革を目指す。
ロームは2025年1月17日、社長の交代を発表した。現職の松本功氏に代わって、2025年4月1日から専務執行役員 品質、生産、汎用デバイス事業、モジュール事業担当 兼 ローム・アポロ 社長の東克己氏が就任する。
社長交代の理由について、ロームは「企業価値向上に向けて、強固な経営基盤の構築を加速するため」としている。ロームは2024年11月、2024年度の通期業績が60億円の赤字になる見通しだと発表していた。
工場再編を検討 人員削減の選択肢も
新社長の東氏は1989年にロームに入社し、ディスクリート生産本部長などを歴任した。2023年にはローム・アポロ 社長に就任し、2024年からはローム 専務執行役員 品質、生産、汎用デバイス事業、モジュール事業担当を兼任している。
ロームが2025年1月17日に開催した記者会見で、東氏は「現在のロームは赤字見通し、株価低迷と厳しい状況にある。経営の一翼を担ってきた自分も深く反省している」とし、「利益の出る会社に戻すには痛みを伴う改革も必要だ。不退転の覚悟を持ってやり切る」と力を込めた。具体的には工場再編を検討するほか、人員削減という選択肢も「排除せず考えている」(同氏)という。
東氏は、ロームの製品について「よく売れる製品はあるが、ロームにしかないオンリーワンの製品が少なくなってしまった」と分析し、今後は「顧客とのコンタクト回数を増やし、次に必要になるものを探す」「開発者が開発に専念できるよう、組織の変更も考える」とした。
なお、2024年3月に発表していた東芝との半導体事業の提携強化については、両社のトップが話し合いを継続しているという。
社長交代にあたって、新社長の東氏はローム・アポロの社長を退任予定。現社長の松本氏は相談役となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ローム、東芝と半導体事業の提携強化を協議へ 資本提携も視野に
ロームは2024年3月29日、日本産業パートナーズ(JIP)に対し、ロームと東芝との半導体事業の業務提携強化に向けた協議の開始を提案したと発表した。将来的には資本提携も視野に入れて協議したい考えだ。 - ローム、TSMCと車載GaN開発/量産で提携強化
ロームは2024年12月10日、TSMCと車載GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスの開発と量産に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表した。 - ロームが車載SiCの主戦場で加速、新モジュール採用品を初公開
ロームはxEV(電動車)用トラクションインバーター向けの市場展開を着実に進めている。「electronica 2024」では、同社の新しいモールドタイプSiCモジュールを採用した、フランスの自動車部品大手Valeoのインバーターを初公開した。 - ロームのGaN採用で効率92.62%に、100Wの急速充電器 デルタ電子
デルタ電子は、高速充電対応のUSB-C充電器「Innergie(イナジー) C10 Duo」の日本での新発売に伴う説明会を開催した。同製品にはローム製のGaN(窒化ガリウム)デバイスを採用している。 - デンソーとローム、半導体分野で戦略的パートナーシップ検討へ
ロームとデンソーが、半導体分野における戦略的パートナーシップの検討開始に合意した。高信頼性製品の安定供給や高品質/高効率な半導体開発などに関するさまざまな取り組みに向けたものだという。 - 独自モールドタイプモジュールで車載SiCの主戦場へ挑むローム
ロームはドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」の初日に記者会見を行い、同社取締役常務執行役員パワーデバイス事業担当の伊野和英氏がSiCパワーデバイス新製品の概要や、事業の展望などを語った。