「予想通り」赤字拡大のJDI、半導体パッケージング事業で収益確保へ:ディスプレイの低収益は「構造的な問題」(2/2 ページ)
ジャパンディスプレイ(JDI)は、2024年度第3四半期(2024年10〜12月)の業績を発表した。売上高は前年同期比33%減の405億円、営業利益は同20億円減で83億円の赤字だった。当期純利益は同227億円減で319億円の赤字だった。
「今回はリターンが高い」米国に工場建設へ、米国メーカーと提携
OLEDの自社生産を中断する一方で、同時に米国のOLEDメーカーであるOLEDWorksとの提携も発表した。JDIが技術や設備を提供する現物出資を行い、米国に最先端ディスプレイ工場を設立する。建設地は検討中で、ニューヨーク州などが候補に挙がっているとした。
現在米国にはOLED工場がなく、米国国防総省が安全保障上の懸念からJDIに工場立ち上げを打診したという。キャロン氏は「これまでJDIは投資に対するリターンが少ないことを懸念されていたが、今回の件はとてもリターンが高い」と説明した。
先端半導体パッケージングにも注力
新たな収益源として注力する半導体パッケージング事業については、2社との戦略提携を発表した。1社目は東京科学大学発の半導体スタートアップ、テック・エクステンション(以下、TEX)だ。TEXはWafer on Wafer(WOW)、Chip on Wafer(COW)といった積層/集積技術に強みを持つ。従来の平置きチップレットを3次元でコンパクトにまとめ、バンプを利用せずに小型化するアーキテクチャである技術「BBCube(Bumpless Build Cube)」をJDI石川工場に導入する計画だ。
2社目は台湾を拠点に先端半導体パッケージングやセンサーを手掛けるPanelSemiだ。PanelSemiはディスプレイ由来のタイリング技術やTFT(Thin Film Transistor)技術を保有している。JDIとPanelSemiの技術を活用して、ガラスをキャリアとした有機インターポーザーや半導体パッケージング用セラミック基板を共同で開発し、JDI石川工場で生産する。
JDIは「2社との提携は異なるアプローチで進めるが、石川工場を最大限に活用し、両者の技術を合わせて提供できる」とした。
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