電源オフでも回転数記録するセンサーで、ロボットの復旧迅速に ADI:electronica 2024(2/2 ページ)
Analog Devicesはドイツ・ミュンヘンで開催された欧州最大級のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」において、電源オフでも磁気システムの回転数を記録できる磁気回転数センサー「ADMT4000」を用いた産業ロボットのデモなどを紹介した。
具体的な仕組みは
GMR回転数センサーは、GMR素子のナノワイヤを複数用い、らせん状に構成(下図)。外部磁界の回転とともに、らせん状のナノワイヤに沿って磁壁が移動し、この移動に伴って各らせん状経路素子の状態が変化する。これらの素子はGMR材料で形成されていることから、素子の状態は抵抗値を測定することによって確認が可能で「(同センサーは)外部磁界のみに依存し、回転数の計測に追加のバックアップ電源やエナジーハーベスティングを必要としない。電源が再投入されると、ユーザーによる追加の操作やシステムのリセットを行わなくても、回転数の状態を把握できる」としている。
ADIは展示会場において「産業ロボットによるアジャイル製造」と題しADMT4000のほか、同社の100万画素の高分解能iToF(indirect Time to Flight)モジュール「ADTF3175」および、モータ制御用の「TMC9660」を用いた産業用ロボットの動作デモを展示していた。
デモは、ADTF3175搭載カメラが取得するRGBおよび3D深度情報を用いることでオブジェクトの位置、3D座標を正確に検出し、ピックアンドプレースを実施。ADMT4000およびTMC9660は3軸デルタロボットの各軸に搭載され、回転数および、モーター速度やリニア位置、電流値がリアルタイムで更新される様子や、実際に突然電源を遮断し再投入した後の動作から、回転数がカウントされ続けていることなどを示していた。
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