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環境と安全の二大課題を解決するモビリティーの電動化福田昭のデバイス通信(492) 2024年度版実装技術ロードマップ(12)(1/2 ページ)

今回からは「第2章第4節(2.4) モビリティー」の概要をご報告する。電気自動車(EV)の潮流や自動運転、電動化技術という3つのパートで構成されている。

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電動化によって排気ガスの削減と運転の自動操作を実現へ

 電子情報技術産業協会(JEITA)が2年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2024年度版 実装技術ロードマップ」(PDF形式電子書籍)を2024年6月に発行した。既に6月11日には、ロードマップの完成報告会を東京で開催している(本コラムの第462回で既報)。

 本コラムではこのほど、ロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、前回の2022年度版に続いて今回の2024年度版も概要をご紹介できるようになった。この場を借りて同委員会の皆さまに深く感謝したい。

 上記の経緯を経て、本コラムの第482回から、2024年度版のロードマップ概要をシリーズで報告している。第484回から前回までは「第2章第2節(2.2) メディカル・ライフサイエンス領域の市場分析とシーズ技術の活用」の概要を説明してきた。

「2024年度版 実装技術ロードマップ」の主な目次。ロードマップ本体から筆者がまとめたもの。なお本体はPDF形式の電子書籍である。
「2024年度版 実装技術ロードマップ」の主な目次。ロードマップ本体から筆者がまとめたもの。なお本体はPDF形式の電子書籍である。ダウロード購入のURLはこちら
「2024年度版 実装技術ロードマップ(第2章)」の主な目次。ロードマップ本体から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]
「2024年度版 実装技術ロードマップ(第2章)」の主な目次。ロードマップ本体から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]

 今回からは「第2章第4節(2.4) モビリティー」の概要をご報告する(注:「第2章第3節(2.3) 情報通信」は、公開可能な資料が現時点では得られていない)。「2.4 モビリティー」は、「2.4.1 世界に於けるEVの潮流」「2.4.2 自動運転・遠隔操作」「2.4.3 電動化技術」の3つの項目によって構成される。始めは「2.4.1 世界に於けるEVの潮流」の概要を述べていく。「2.4.1 世界に於けるEVの潮流」は、「2.4.1.1 電動車略語の定義」「2.4.1.2 国際的なモビリティー環境規制・方針」「2.4.1.3 世界における環境規制動向」の3つのパートから成る。

ゼロエミッション車、新エネルギー車の定義と違い

 電動車(EV:Electric Vehicle)の世界は、略語が少なくない。EV、BEV、FCEV、HV、HEV、ZEV、NEV、xEVなどがあり、困惑することもしばしばある。そこで電動車に関する略語の定義を以下の表にまとめた。

電動車に関する略語の定義[クリックで拡大] 出所:「2024年度版 実装技術ロードマップ」、p.64、図表2.4.1-5を元に筆者が作成
電動車に関する略語の定義[クリックで拡大] 出所:「2024年度版 実装技術ロードマップ」、p.64、図表2.4.1-5を元に筆者が作成

 大気汚染や地球温暖化などの環境問題を緩和するという意味では、最も望ましいのが排気ガスを出さないゼロエミッション車(ZEV)である。ここに含まれるのは電気自動車(バッテリ(二次電池)駆動の電動車:BEV)と燃料電池自動車(燃料電池駆動の電動車:FCEV)しかない。FCEVは現在のところ商用化されているとは言い難いので、実質的にはBEVだけがゼロエミッション車となる。

 新エネルギー車(NEV)は、大気汚染対策として中国政府が定義した電動車を指す。ここにはBEVとFCEV、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)が含まれる。前述のようにFCEVはほぼ商用化されていないので、BEVとPHEVだけが市場に流通している。

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