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環境と安全の二大課題を解決するモビリティーの電動化福田昭のデバイス通信(492) 2024年度版実装技術ロードマップ(12)(2/2 ページ)

今回からは「第2章第4節(2.4) モビリティー」の概要をご報告する。電気自動車(EV)の潮流や自動運転、電動化技術という3つのパートで構成されている。

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2023年のEV新車販売は前年比35%増の1380万台

 国際エネルギー機関(IEA)が公表したデータ「Global EV Outlook 2024」(2024年4月発表)によると、2023年の「EV」(注:IEAはBEVとPHEVを「EV」と定義)販売台数(新車登録台数)は前年比35%増の1380万台に達した。内訳はBEVが950万台、PHEVが430万台である。5年前の2018年にEVの販売台数は210万台(BEV140万台、PEV70万台)だったので、約6.6倍に急増したことになる。また2023年の自動車販売台数(新車販売台数)に占めるEVの割合は18%で、前年から4ポイント上昇した。

 EVの新車登録台数を地域別にみると中華人民共和国(以降は「中国」と表記)が最も多く、810万台で60%弱を占める。内訳はPHEVが270万台、BEVが540万台である。前年と比べて35%伸びた。中国の自動車販売全体に占めるEVの比率は38%に達する。2023年に比べると9ポイント上昇した。またEV以外を含めて中国は2023年に自動車を約400万台輸出しており、世界最大の自動車輸出国になったと指摘する。EVの輸出台数は120万台である。

 中国の次にEV販売台数が多いのは欧州で、25%を占める。2023年の販売台数(新車登録台数)は前年比20%増の320万台で、内訳はPHEVが110万台、BEVが220万台となっている。ただしPHEVは2021年から3年連続で登録台数が110万台となっており、販売は伸びていない。補助金が縮小および廃止されつつあることの影響とみられる。全自動車の販売台数に占めるEVの割合は21%で、前年から1ポイント上昇した。2020年と2021年は7ポイント増、2022年は3ポイント増だったので、EV販売台数の成長が鈍化していることがうかがえる。

 欧州の次は米国で、世界におけるEV登録台数の10%を占める。2023年の販売台数(新車登録台数)は前年比40%増の140万台と大幅に増えた。内訳はPHEVが30万台、BEVが110万台である。全自動車の販売台数に占めるEVの割合は10%で、前年から3ポイント上昇した。

2035年には乗用車・軽量商用車の新車販売で3分の2がEVに

 EV市場を調査しているEV Volumeが2023年11月に公表したデータによると、2023年のEV(BEVとPHEV)新車販売台数は前年比34%増の1410万台になると予測した。EVを含めた乗用車と軽量商用車(車両総重量が3.5トン未満の商用車)の2023年における新車販売台数の成長率は9%と予測しているので、EVの伸びが著しい。

 EV Volumeは、2023年における軽量自動車(乗用車と軽量商用車(車両総重量が3.5トン未満の商用車))の新車販売に占めるEVの割合は16%と予測する。これが2025年に23%、2030年に45%と上昇する。2031年には50%と半分を占めるようになる。そして2035年には68%と、軽量自動車(Light Vehicles)の3分の2強がEVになると予測する。

世界のBEVとPHEVの販売推移および予測(2015年〜2035年)[クリックで拡大] 出所:「2024年度版 実装技術ロードマップ」、p.63、2024年6月発行
世界のBEVとPHEVの販売推移および予測(2015年〜2035年)[クリックで拡大] 出所:「2024年度版 実装技術ロードマップ」、p.63、2024年6月発行

(次回に続く)

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