元ザイリンクスのアルテラジャパン社長 「次は古巣を抜く」:Sam Rogan氏(2/2 ページ)
2024年1月、AlteraはIntelの独立子会社となった。日本法人アルテラの社長に就任したSam Rogan氏は「Intelから独立したことで、特に組み込み向けの製品開発に、より集中できるようになる」と述べる。同氏に日本での今後の戦略を聞いた。
日本では防衛/軍事分野を狙う
――日本での戦略についてお聞かせください。どの市場を狙っていきますか。
Rogan氏 まずは防衛/軍事の分野を狙う。AMD(Xilinx)は、グローバルではこの分野に強いが、日本ではまだそこまでではない。日本も同分野への投資が今後増えるとみているので、その波にうまく乗りたい。もう一つが画像処理の分野だ。放送局や監視システム、電子戦(Electronic warfare)などがターゲット市場になる。ここではハイエンドのAgilex 9が鍵になるだろう。
ザイリンクス時代は、既にアルテラが参入している市場に攻勢をかけたが(Altera製からXilinx製に)入れ替えてもらうことはなかなか難しかった。それ故、アルテラ不在の分野を開拓し、マーケットを作ってきた。アルテラへと移った今は、どの市場が日本でまだ残っているのかを探さなければならない。最終的にはAMDが強い市場も攻めていくが、まずは同社が手薄な市場を狙う。
その際にはIntelの独立子会社であることも強みになるだろう。Intelが現在でも半導体売上高ランキングの首位を争う巨大なメーカーであることを忘れてはいけない。業界内でのコネクションも多く、販売網で強みを持つ。実際にAlteraはIntelと組むことで、これまで開けなかった扉も開いてきた。それは今後も続くだろう。Intelの良いところは吸収しつつ、足りない部分は自分たちで補っていく。現在、日本やアジアにおけるAlteraのシェアは低いが、それを何とか高めていく。ザイリンクスの社長に就任した際、日本ではアルテラのシェアが高かった。それを努力してひっくり返した。次はアルテラ社長として、シェアを取り戻したい。Alteraはグローバルでも日本でも、2029年までにFPGAの売上高首位を目指す。
――2025年1月に、FPGAの開発を最大9カ月短縮できるとする新プログラム「アルテラ・ソリューション・アクセラレーション・パートナー・プログラム(Altera Solution Acceleration Partner Program、ASAPプログラム)」を発表しました。
Rogan氏 2025年3月1日時点で、ワールドワイドで200社のパートナー企業がいる。日本は現在25社で、間もなく30社を超える見通しだ。IPベンダーやボード設計メーカーなどのパートナー企業が参画している。
――現在、日本は半導体政策に力を入れています。こうした動きをどのように見ていますか。
Rogan氏 日本が再び半導体産業に注力しているのは喜ばしいことだ。半導体製造プロセス技術は、1世代進めるにも大変な苦労を強いられる。それを何世代もスキップし、最先端(2nm世代)での製造を実現することはかなりのチャレンジだ。だが不可能ではないと考えている。課題は人材、特に博士号取得者やエンジニアの確保だろう。私が仕事をともにしてきたベテランエンジニアたちは本当にエネルギッシュで、技術力も高い。ぜひ、若い世代のエンジニアを増やし、技術をつなげてほしい。その意味でも、半導体エンジニアを増やすための政策やプログラムは必要ではないか。われわれも、近いうちにユニバーシティプログラムを発表する予定だ。
半導体の開発はやはり難しい。開発の時間や手戻りの大変さなどを考慮すると、ハードウェアの開発には、ソフトウェアの開発とはまた異なる“真面目さ”も必要になる。そうした真面目さを見直す文化をもう一度醸成していくことも大切なのではないか。
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