Intel新CEO、前進に向け「4つの計画」表明:「Intel 18A」はリスク生産段階に(2/2 ページ)
Intelの年次イベント「Intel Vision 2025」に登壇した新CEOのLip-Bu Tan氏は、Intelの再建に向け「4つの計画」を用意していると語り、出席者に安心感を与えた。
経営幹部も“顧客中心”を強調
今回のイベントの2日目の講演では、Intelの経営幹部がTan氏のコメントに倣い、過ちや不足を認め、より“顧客中心の”企業になるための取り組みについて繰り返し主張した。
IntelのCCO(最高商務責任者)であるChristoph Schell氏は、Intelがここ1年ほどの間に実施してきた数々のポートフォリオ変更について語った。
Schell氏は「このような変更の一部は、長期的な視点から見ると非常にメリットが大きいが、短期的には実行するにあたり痛みを伴うだろう」と述べ、数々の製造中止製品について取り上げた他、Tan氏が「ポートフォリオの削減はまだ完了していない」と明言していることについて注意を喚起している。
Schell氏は「Intelの明るい面としては、2024年にx86アーキテクチャに関するアプローチを変更して、一部のカスタム/セミカスタム設計を許可したことにより、良い結果がもたらされているという点がある。当社のカスタムx86 SoC(System on Chip)の設計能力について、顧客からフィードバックを得られていることをうれしく思う」と述べている。
Intel ProductsのCEOであるMichelle Johnston Holthaus氏は「製品グループは3つの主な焦点として、“PC分野におけるAI主導”と、“データセンターAIの強化”、“AIインフラポートフォリオ全体の革新”を目指していく。(Tan氏はこの前日に、データセンターAI分野におけるIntelの位置付に関して不満を表明していた。「新たなページを開く時が来た。一夜にしてできるようなことはないが、必ず実現する」と述べている)
「Intel 18A」がリスク生産段階に
Intel FoundryのシニアバイスプレジデントであるKevin O’Buckley氏は、Intelの「18A」世代のプロセス技術がリスク生産段階に入ったという心強い知らせを発表した(シリコンで十分に実証され、商用量産向けにスケールアップするための準備が完了したことを示す)。これは、Intel Foundryにとって重要なマイルストーンであり、切望されていた朗報でもある。
全体的に見ると、Tan氏が最も強く語った言葉は、なぜTan氏が自身のキャリアのこの時点でこうした大きな課題に挑戦するのかを不思議に思っていた人々に向けたものだった。
「その答えはとてもシンプルだ。私はIntelを愛している。Intelが苦悩しているのを見るのは、私にはとてもつらいことだったからだ」と述べ、35分間の基調講演の中で唯一感情的になった。「Intelにとって、かなり長い間厳しい時期が続いていた。われわれはイノベーションで後れを取り、その結果、顧客のニーズを満たすのが遅過ぎた」
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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