最先端デジタルSoC設計人材育成事業、募集始まる:即戦力となる半導体設計者を養成
技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)とTenstorrent USAは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/人材育成(委託)」における「最先端デジタルSoC設計人材育成」事業の上級コースについて、受講生の募集を始めた。
上級コースに続き中級コース、初級コースも近日中に募集を開始
技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)とTenstorrent USAは2025年5月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/人材育成(委託)」における「最先端デジタルSoC設計人材育成」事業の上級コースについて、受講生の募集を始めた。応募に関する詳細は専用のWebサイトで確認できる。
日本では、即戦力となる半導体設計者やアーキテクトが圧倒的に不足しているといわれている。こうした中でLSTCは、最先端半導体技術の研究開発と人材育成を通じて、日本の半導体産業が持続的かつ自律的に発展することを目的として、2022年12月に設立された。今回取り組む「最先端デジタルSoC設計人材育成」事業も、その具現化に向けて大きな原動力となる。
最先端デジタルSoC設計人材育成プログラムは、「上級「中級」「初級」の3コースに分かれている。今回募集を始めた上級コースは、書類選考や面接などを行った後、2025年7月以降にも講義や実習を開始する予定である。中級コース、初級コースについても近日中に募集を始めるという。
上級コースは、「開発プロジェクトをけん引するアーキテクト育成コース」である。AppleやAMDなどで活動してきたJim Keller氏が率いる米スタートアップのTenstorrent USAで長期トレーニングを行う。具体的には、日本で3カ月間の事前トレーニングを受けた後、米国拠点で12〜18カ月のOJTに参加。シングルナノ半導体やAIアクセラレーターの開発などを行うことで、最先端SoC設計のスキルや英語でのコミュニケーション力などを高めていく。
なお、中級コースは「28nm以細のロジック半導体の設計人材育成コース」となっている。AIチップの設計拠点「AIDC」にある設備やSoC設計資産を活用して、実践的な半導体設計技術者を育成していく。
初級コースは、「最先端EDAツールのスペシャリスト育成コース」である。Synopsys製やCadence製のEDAツールを使いこなせるスペシャリストを育てていくことを狙いとしている。
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