キオクシアの年度業績、3年ぶりの黒字転換で過去2番目の営業利益を計上:福田昭のストレージ通信(280)
キオクシアホールディングスの2024会計年度通期(2024年4月〜2025年3月)の決算概要を説明する。
2540億円の営業損失から4530億円の営業利益へと急変
フラッシュメモリ大手キオクシアの持ち株会社であるキオクシアホールディングスは2025年5月15日に、2024会計年度(2025年3月期)第4四半期(2025年1月〜3月期)と2024会計年度通期(2024年4月〜2025年3月)の決算を発表した。四半期業績の概要は本コラムの前回でご報告した。今回は通期業績(会計年度業績)の概要をご説明する。
2024会計年度通期の売上高は前年比58.5%増の1兆7065億円となり、過去の東芝メモリ時代を通じて最高値を記録した。Non-GAAPベースの営業利益は4530億円である。前年度の営業損益は赤字で、2540億円の営業損失を計上した。前々年度も営業損失を計上していたので、3年ぶりに黒字転換したことになる。営業利益は東芝メモリ時代に記録した4791億円に次ぐ、過去2番目の高さに達した。

2023会計年度(2023年4月〜2024年3月期)と2024会計年度(2024年4月〜2025年3月期)の業績概要[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2025年5月15日公表の連結決算説明スライドから)

キオクシア(および東芝メモリ)の会計年度別業績推移。各社の公表資料を筆者がまとめたもの。なお、2012会計年度〜2017会計年度までは東芝メモリ事業および旧東芝メモリ(東芝の完全子会社)の業績(2014年度までは営業利益が公表されていない)。2018会計年度は旧東芝メモリ(東芝の完全子会社)および新東芝メモリ(Pangeaの子会社およびPangeaとの合併会社)の業績(注:厳密には2017年度との連続性がない)[クリックで拡大]
四半期業績は2023会計年度第4四半期に黒字へと転換
2023会計年度(2023年4月〜2024年3月期)と2024会計年度(2024年4月〜2025年3月期)の四半期売上高の推移を見ていくと、2023会計年度第2四半期(2023年7月〜9月期)を底に4四半期連続で前四半期(前期)を上回った。2024年会計年度第2四半期(2024年7月〜9月期)の売上高は2023会計年度第2四半期(2023年7月〜9月期)のおよそ2倍に達した。
営業損益(Non-GAAPベース)は2023会計年度第3四半期(2023年10月〜12月期)までは赤字だったものの、同年度第4四半期(2024年1月〜3月期)に黒字に転換した後は黒字決算を続けている。

2023会計年度(2023年4月〜2024年3月期)と2024会計年度(2024年4月〜2025年3月期)の四半期業績の推移[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2025年5月15日公表の連結決算説明スライドから)
用途別に年度売上高の違いをみていくと、「SSD&ストレージ」(PC、データセンター、エンタープライズ向けSSDおよメモリなど)の急増が目立つ。2023会計年度に5164億円だったのが2024会計年度には9911億円へと大きく拡大した。前年比では92%増に達する。
ほかの用途では「スマートデバイス」(スマートフォン、タブレット、テレビなどの民生機器と車載機器)向けが前年比34%増の5011億円、「その他」(SDカード、USBメモリなどのリテール向け製品と、Sandisk向け売り上げ(キオクシアとSandiskの合弁会社経由))が同15%増の2142億円といずれも増加した。
(次回に続く)
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