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キオクシアの四半期業績、2四半期連続の減収減益に福田昭のストレージ通信(279)

今回はキオクシアホールディングスの2024会計年度(2025年3月期)第4四半期(2025年1月〜3月期)業績を紹介する。

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前年同期比では売上高は増加、営業利益が減少

 フラッシュメモリ大手キオクシアの持ち株会社であるキオクシアホールディングスは2025年5月15日に、2024会計年度(2025年3月期)第4四半期(2025年1月〜3月期)と2024会計年度通期(2024年4月〜2025年3月)の決算を発表した。今回は四半期業績の概要をご報告する。

 2024会計年度第4四半期(2025年1月〜3月期)の売上高は前期(前四半期)比22.9%減、前年同期比7.8%増の3471億円である。直近では2024年7月〜9月期の4809億円をピークに、2四半期連続で前期比はマイナス成長となった。

 2024会計年度第4四半期(2025年1月〜3月期)の営業利益は前期比69.5%減、前年同期比14.6%減の375億円である。全体として前期比は減収減益となったことが分かる。


2024会計年度第4四半期(2025年1月〜3月期)の業績概要[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2025年5月15日公表の連結決算説明スライドから)

キオクシアの四半期業績推移(東芝のフラッシュメモリ事業を含む)。四半期業績の公表資料から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]

用途別ではSSD向けが売り上げ全体の6割を占める

 用途別の売上高では「SSD&ストレージ」(PC、データセンター、エンタープライズ向けSSDおよメモリなど)向けが最も大きく、全体の62%を占める。売上高は前期比22.8%減、前年同期比32.5%の2152億円である。

 「スマートデバイス」(スマートフォン、タブレット、テレビなどの民生機器と車載機器)向けは全体の23%を占める。売上高は前期比32.0%減、前年同期比29.2%減の796億円である。

 「その他」(SDカード、USBメモリなどのリテール向け製品と、Sandisk向け売り上げ(キオクシアとSandiskの合弁会社経由))は全体の15%と最も少ない。売上高は前期比3.4%減、前年同期比10.7%増の523億円である。


用途別(アプリケーション別)の販売実績[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2025年5月15日公表の連結決算説明スライドから)

 最近は「SSD&ストレージ」分野の売上高が全体を押し上げつつある。2023会計年度第1四半期に「SSD&ストレージ」が全体に占める割合は43%であり、「スマートデバイス」向けの38%とあまり差がなかった。それが2024会計年度第2四半期(直近の売り上げピーク)には、「SSD&ストレージ」の割合が57%と14ポイント増加し、「スマートデバイス」の割合が32%と6ポイント減少した。


用途別(アプリケーション別)販売実績の四半期推移(2023会計年度第1四半期〜2024会計年度第4四半期)[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2025年5月15日公表の連結決算説明スライドから)

米国関税による4〜6月期への影響は最小限にとどまると見込む

 発表では次期(2025会計年度第1四半期)の見通しにも言及した。米国関税の影響は最小限度にとどまると見込む。スマートフォンやPCなどの需要動向を注視していくとする。

 2025年の市況回復ペースの予測は難しいと考える。スマートフォンやPCなどの在庫水準は安定して始めている。スマートフォンでは次世代AIスマートフォンによる需要喚起と中国政府の補助金継続による需要拡大に期待する。PCではWindows 10のサポート終了に伴う買い換え需要とAI搭載PC市場の拡大が市況の回復要因となる。

 一方でエンタープライズ/データセンター向けにはAIサーバの導入が活発である。インフラ投資によってSSDの需要が増えると予測する。


2025年4〜6月期以降の市場見通し[クリックで拡大] 出所:キオクシアホールディングス(2025年5月15日公表の連結決算説明スライドから)

(次回に続く)

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