イメージセンサー金額シェア60%目標「数年遅れる」、ソニー半導体:主要顧客の販売「想定下回った」
ソニーグループは、これまで掲げてきたイメージセンサーの金額シェア目標が数年遅れる見通しだと明かした。「2025年にシェア60%」を目標として掲げていたが、この目標が数年遅れる。
ソニーグループは、イメージセンサーの金額シェア目標として「2025年にシェア60%」を掲げていたが、この目標が数年遅れる見通しだと明かした。2024年、主要顧客の販売が想定を下回ったほか、中国市場のハイエンド領域で競争が激化したことなどが影響しシェアが前年横ばいで推移したことが要因だ。
収益成長も、24年のシェアは横ばい
ソニーグループのイメージング&センシングソリューション分野(I&SS)の2024年度業績は売上高が前年度比12%増の1兆7990億円、営業利益は同35%増の2611億円で、ともに過去最高を更新していた。増収は為替の好影響の他、モバイル機器向けセンサーで製品ミックスの改善および販売数量の増加があったことが要因としている。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、ソニーセミコン)社長の指田慎二氏は、2025年6月13日に公開した動画の中で「イメージセンサー事業は、2025年に金額シェア60%を目標に進めてきたが、2024年は市場を上回る売り上げ成長を果たせず、シェアは横ばいになった」と説明。具体的には2024年実績は前年同様53%で推移。2025年は56%になる見通しだといいう。
中国ハイエンドの競争激化も影響
ソニーセミコン最高財務責任者(CFO)の高野康浩氏は2024年にシェアが横ばいとなった要因は大きく2つあると説明した。1つ目は、主要顧客の販売が想定に届かなかったこと、そしてもう1つが中国におけるハイエンド領域で競合との競争が激化し「この部分で少し苦戦をした」ということだ。
ソニーセミコンは同日(6月13日)、事業戦略についても説明。感度/ノイズやダイナミックレンジ、解像度、読み出し速度、消費電力という5つの機能軸を挙げ、全ての方向で総合的に進化させていくとしていた。高野氏はシェア拡大に向け「この機能軸をバランスよく製品に仕上げるということが当社の強みだが、この技術をより一段昇華させる。加えて、それぞれの技術に対する新しい製品をできるだけ早く市場に投入していく」などと説明。「シェア目標は残念ながらしばらく遅れる想定をしているが、市場において勝ち切るという目標に変化はない。60%の目標は変えず事業運営していく」としている。
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