世界半導体製造装置市場、2026年は過去最高に:2025年央市場予測をSEMIが発表
SEMIによれば、2025年の半導体製造装置(新品)市場は、前年比7.4%増の1255億米ドルに達する見通しとなった。AI用半導体デバイスの需要拡大などにより、半導体製造装置市場は続伸。2026年の売上高も過去最高の1381億米ドルになると予測した。
AI用半導体デバイスの需要拡大などで半導体製造装置市場は続伸
SEMIは2025年7月22日(現地時間)、世界半導体製造装置の2025年央市場予測を発表した。2025年の半導体製造装置(新品)市場は、前年比7.4%増の1255億米ドルに達する見通しとなった。AI用半導体デバイスの需要拡大などにより、半導体製造装置市場は続伸。2026年の売上高も過去最高の1381億米ドルになると予測した。
世界半導体製造装置市場をセグメント別に予測した。ウエハープロセス処理装置やファブ設備、マスク/レチクル製造装置などを含む「ウエハーファブ装置(WFE)」市場は、2024年に過去最高となる1043億米ドルの売上高となった。2025年はさらに6.2%増え1108億米ドルを見込む。2026年は1221億米ドルに達すると予測した。前年に比べ10.2%の増加となる。その背景にはAIに向けた最先端ロジックICやメモリの生産能力拡大、最先端プロセス技術への移行などがある。
後工程装置も力強い回復を維持するとみている。「半導体テスト装置」の売上高は、2025年に23.2%増加し、過去最高の93億米ドルとなる見込み。2026年は前年に比べ5.0%増加すると予測した。「組み立ておよびパッケージング装置」の売上高は、2025年に7.7%増の54億米ドルを見込む。2026年はさらに15.0%増加するとの見通しだ。AI用や広帯域メモリ(HBM)などが市場拡大をけん引する。ただ、自動車市場などの低迷によって市場の伸びは部分的に相殺されると分析する。
アプリケーション別予測も行っている。「ファウンドリーとロジックアプリケーション向けウエハーファブ装置」の売上高は、2025年に前年比6.7%増の648億米ドルを見込む。2026年には6.6%増の690億米ドルと予測した。2nmGAA(ゲートオールアラウンド)ノードへの量産投資などを視野に入れている。
メモリ向けの設備投資は引き続き増加すると予測した。「NAND製造用装置」の売上高は、3D NANDスタッキング技術の進歩や生産能力の拡大などによって、2025年には前年比42.5%増の137億米ドルとなる見込み。2026年は9.7%増の150億米ドルと予測した。「DRAM製造装置」の売上高は、2025年に6.4%増、2026年に12.1%の伸びを見込んでいる。HBMへの投資が需要拡大を支える。
地域別予測では、中国と台湾、韓国が2026年まで設備投資を維持すると予測した。引き続き中国が全地域をけん引するとみられるが、同地域における売上高は今後、過去最高であった2024年の495億米ドルに比べ減少するとの見通しだ。貿易政策リスクが今後の市場予測に影響を与える可能性はあるものの、欧州を除く他の地域では2025年以降、設備投資額は大幅に増加すると予測した。
SEMIのプレジデント兼CEOを務めるAjit Manocha氏は「2024年の力強い成長に続き、2025年も世界の半導体製造装置市場は拡大し、2026年には新たな記録を更新することが予測される。マクロ経済の不確実性を注視しつつも、AIによる半導体イノベーションへの需要が、生産能力の拡大と最先端製造への投資をけん引している」とコメントした。
SEMIの予測は、大手半導体製造装置メーカーによる集団的見解や世界半導体装置市場統計(WWSEMS)および、World Fab Forecastのデータに基づいたものである。
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