Groqがフィンランドにデータセンター立ち上げ 拡大する欧州AI市場を狙う:25年以降もキャパシティー拡張(2/2 ページ)
フランスのパリで2025年7月に開催されたAIイベント「RAISE Summit」では、AIクラウドサービスプロバイダー各社が、欧州で拡大するAI顧客基盤に対応するための計画について説明した。Groqは、欧州およびその他の地域の「GroqCloud」の顧客向けに、欧州では初のデータセンターを発表している。
SambaNovaのオンプレAIクラウドサービス
RAISE Summitでは他にSambaNovaが、オンプレミスAIクラウドを迅速に導入したいデータセンター/クラウドサービスプロバイダー向けにマネージドオンプレミスクラウドサービスである「SambaManaged」を発表した。このサービスは、顧客のデータセンターで30〜90日以内に導入可能だという。
SambaNovaのChief Product & Strategy OfficerであるAbhi Ingle氏は、EE Timesの取材の中で「顧客は通常、まずはSambaNovaのクラウドサービスである『SambaCloud』からスタートし、その後SambaManagedに移行していく」と説明する。
Ingle氏は「開発者に向けたSambaCloudは、SambaNovaのラックをクラウドとして動作させるものだ。私たちの目標は、OpenAIと競争するために大規模なサービスを作り出すことではない。エンタープライズ顧客の多くは、どれだけのコンピューティング能力が必要になるのかを把握していないので、私たちが顧客にその旅路の出発点を提供しようとしているのだ」と述べる。
SambaManagedは、SambaNovaの空冷式の10kWラックを利用し、ラックのごく一部から最大1MWのトークンファクトリー(ラック100台またはチップ1600個)まで、または必要に応じてそれ以上の規模にスケーリングできる。その中には、SambaNovaのコンテナ化されたハードウェアや推論エンジンの他、最適利用のためのオーケストレーションソフトウェアなどが含まれる。
「他の企業では、大規模モデルを実行するフットプリントが必要なために、顧客向けにオンプレミスのラックを複数用意しなければならないが、SambaNovaではそのような問題は発生しない。DeepSeek-R1を稼働させるために40ラックも必要なく、1つのラックで実行できる。私たちは、さまざまな顧客の要望に応えられるよう製品を構成しているのだ」(Ingle氏)
Ingle氏は「顧客は、提供したいモデルを選択でき(ラック10台の場合は2モデル、40台の場合は5または6モデル)、自社ブランドをベースとした独自の価格設定が可能だ」と述べる。
「現在、世界中にある数々のデータセンターが『どうすればこのビジネスに参入できるか分からない』 という状況にある。私たちの製品は、既存のデータセンターに修正を加える必要なく、ほとんどのデータセンターに導入可能だ。私たちのラックは、電源とコネクティビティを備えたシンプルな輸送コンテナにも搭載できる」(Ingle氏)
Ingle氏は「SambaNovaの顧客は、完全に管理されたオンプレミスサービスを選択したり、または運用を引き継いだりもできる」と述べる。
同社によると、SambaManagedは既に、大規模なデータセンター運用を手掛ける米国の大手公開会社において採用されているという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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