ペロブスカイト太陽電池、過酷な環境で実証実験:横浜港大さん橋に60枚を設置
マクニカは、「過酷な環境」と「普通の環境」で、新開発のペロブスカイト太陽電池(PSC)について実証実験を始めた。「横浜港大さん橋」などにPSCユニットを設置し、2026年2月末までの約6カ月間、「耐久性」と「発電対応力」を調べる。
2026年2月末までの約6カ月間、「耐久性」と「発電対応力」を調査
マクニカは2025年9月、高湿度や塩害リスクのある「過酷な環境」と「普通の環境」で、新たに開発したペロブスカイト太陽電池(PSC)の実証実験を始めた。「横浜港大さん橋」と「オフィスビル(非公開)」の2カ所にPSCユニットを設置し、2026年2月末までの約6カ月間、「耐久性」と「発電対応力」を調べる。
今回の実証事業は、環境省が進める「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」において、「港湾などの苛烈環境におけるPSCの活用に関する技術開発(委託)」として採択された。
実証事業は、PSCの発明者で桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授から指導を受けつつ、マクニカが代表事業者となって行う。なお、共同実施者であるペクセル・テクノロジーズや、PSCの製造を担当した麗光も実験に参加する。
実証事業ではこれまで、接着しない独自工法で72枚のPSCを設置し、正常動作することを確認してきた。具体的には、1.5kWPSCユニットを用い、重耐塩環境下で出力1kWの発電と定常電力利用を実現してきた。
2025年度は、横浜港大さん橋のデッキ上に、発電効率を一段と高めたPSCユニット60枚(1kW相当)を設置し、これまでを上回る発電量を目指す。また、これと同じPSCユニットを通常環境下にも設置し、「耐久性」や「発電対応力」について調べ、これらの測定データを比較することにしている。
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