ペロブスカイト太陽電池、2040年に約4兆円規模へ:日本は2040年度に342億円と予測
富士経済によれば、ペロブスカイト太陽電池の世界市場は、2025年見込みの1476億円に対し、2040年予測は3兆9480億円に達する見込みである。このうち日本市場は、2025年度見込みの8000万円に対し、2040年度は342億円規模になると予測した。
2040年にはフィルム基板型が30%強を占める
富士経済は2025年7月、ペロブスカイト太陽電池の世界市場が、2025年見込みの1476億円に対し、2040年予測は3兆9480億円に達すると発表した。このうち日本市場は、2025年度見込みの8000万円に対し、2040年度は342億円規模になると予測した。
今回の調査では、ペロブスカイトの「単接合型」および、ペロブスカイトと結晶シリコンの「タンデム型(多接合型)」を対象とした。調査は2025年4〜5月に行った。
単接合型は既に、電子棚札やIoTデバイスの組み込み電源といった用途で商用化されており、2024年の世界市場は500億円規模となった。中国メーカーはBAPV(建物据え付け型太陽電池)としてサンプル出荷を行っている。将来はギガワット級の量産も始まる見通しから、2040年にはBAPV用途が5割以上になると予測した。
タンデム型はまだサンプル出荷にとどまっている。これらの全てはBAPV用途である。2024年の世界市場は90億円規模であるが、結晶シリコン太陽電池を手掛ける中国や韓国の大手メーカーが量産を計画しており、長期的には市場拡大が予想される。
本格的な量産では単接合型が先行するものの、2020年代後半よりタンデム型の量産も進み、2020年代後半より市場は拡大すると予測した。タンデム型は変換効率の改善が進み、2030年前後から発電事業用途などで導入が増える見通し。2040年にはペロブスカイト太陽電池の約60%はタンデム型が占めるとみている。
市場を採用基板別にみると、現状ではガラス基板が90%弱を占める。フィルム基板で商用化しているメーカーはまだ少なく、欧米メーカーが中心である。日本メーカーでは積水化学工業/積水ソーラーフィルムが商用化の予定。2040年時点でもガラス基板型が中心ではあるが、フィルム基板型も30%強の構成比率まで高まるとみられる。
ペロブスカイト太陽電池の日本市場は、試験的な少量生産やサンプル出荷の段階である。2025年度に積水化学工業/積水ソーラーフィルムが商用化の予定。他の企業も商用化は2027年度頃になりそうだ。タンデム型の開発・生産が期待されている。
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