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実装面積を削減できるパワー半導体モジュール、三菱電機:インバーター基板の小型化を可能に
三菱電機は、パワー半導体モジュール「Compact DIPPM」シリーズとして2製品を開発、サンプル出荷を始める。従来製品に比べモジュールの床面積を約53%に縮小した。パッケージエアコンなどに搭載されるインバーター基板を小型化できる。
連続動作温度の下限値を−40℃に拡大、寒冷地向け空調機にも対応
三菱電機は、パワー半導体モジュール「Compact DIPPM」シリーズとして2製品を開発、2025年9月22日からサンプル出荷を始める。従来製品に比べモジュールの床面積を約53%に縮小した。パッケージエアコンなどに搭載されるインバーター基板を小型化できる。
新製品は定格電圧が600Vで、定格電流30Aの「PSS30SF1F6」と、定格電流50Aの「PSS50SF1F6」。これらの製品にはIGBTとダイオードを1チップに集積した「RC-IGBT」を搭載した。これにより、モジュールの外形寸法は35.6×24.4×5.4mmとなった。インバーター基板に実装する時の占有面積を、従来のほぼ半分に抑えることができるという。しかも、高放熱の絶縁シート材を採用することで接合部の温度上昇を抑えた。
また、過電流を検知して制御する短絡保護機能に加え、アーム短絡保護のためにインターロック機能も新たに搭載した。これにより、インバーター基板の短絡保護機能に関する設計を簡略化できるという。端子とヒートシンク間の絶縁距離は従来製品と同等なため、新製品への置き換えも容易である。
連続動作温度範囲は−40〜150℃。従来製品の−30〜150℃に比べ下限値を広げた。運転可能な温度範囲が拡大したことで、寒冷地向けパッケージエアコンなどへの搭載も可能になった。
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