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「発想の転換で実現」低VFかつ低IRの保護用SBDを開発、ローム:素子構造を根本から見直す
ロームが、素子構造を根本から見直すことで低順方向電圧(VF)と低逆方向電流(IR)を両立した保護用ショットキーバリアダイオード「RBE01VYM6AFH」を開発した。
高い光起電圧による回路破壊や熱暴走・誤動作のリスクを軽減
ロームは2025年9月、素子構造を根本から見直すことで低順方向電圧(VF)と低逆方向電流(IR)を両立させた保護用ショットキーバリアダイオード(SBD)「RBE01VYM6AFH」を開発したと発表した。イメージセンサーを搭載した先進運転支援システム(ADAS)用カメラやスマートフォン、防犯用カメラなどの保護用途に向ける。
RBE01VYM6AFHは、一般に整流用途で用いられるSBDの低VF特性を保護用に活用するという発想の転換から生まれた製品で、過酷な環境条件でも優れた特性が得られるという。例えば、VFは、特性が劣化する低温時(周囲温度-40℃)でも300mV未満(IF=7.5mA)。IRも特性が劣化する高温時(周囲温度125℃)では20mA未満(VR=3V)を達成するなど、低VFと低IRを両立。これによって、システムが停止した時に発生する高い光起電圧による回路の破壊を防ぐことができる。また、動作中の熱暴走や誤動作のリスクも低減できるという。
パッケージは外形寸法が2.5×1.4mmの小型フラットリードタイプ「SOD-323HE」を採用した。車載カメラや産業機器、セキュリティシステムなどにおける高密度実装に対応できる。車載信頼性規格の「AEC-Q101」にも準拠している。サンプル価格(税別)は130円。チップワンストップやコアスタッフオンラインなどネット商社からも購入できる。
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