NIのLabVIEW最新版はAI搭載 「AI/データ活用のキープレイヤーになる」:VIの自動生成も視野(2/2 ページ)
National Instruments(以下、NI)の日本法人である日本ナショナルインスツルメンツ(以下、日本NI)はは2025年9月9日、計測/テスト技術に関するイベント「NI Days Japan 2025」を開催した。計測器/テスト市場のトレンドやNIの戦略、最新製品について、同イベントに登壇したNI 最高技術責任者(CTO)のKevin Schultz氏、NI Vice President & General Manager,Test and Analytics SoftwareのRudy Sengupta氏、日本NI 代表取締役のコラーナ マンディップ シング氏に話を聞いた。
「LabVIEW」にAIアドバイザーを搭載 今後はVI自動生成も
データ活用のトレンドは、NIの製品にも反映されている。計測器向け開発環境「LabVIEW」の2025年7月の最新版リリースでは、新機能としてAIアドバイザー「Nigel」を搭載した。NigelはOpenAIのモデルをベースにNIの技術資料から専門知識をコンテキストとして与えたもので、2025年9月現在、LabVIEWと「TestStand」で利用できる。今後他のソフトウェアにも展開していく予定だ。
NIが想定するLabVIEWでのNigelの使い方は、操作マニュアルのように用いたり、既に作成してあるプログラム(Virtual Instrument、VI)の解析をさせたりするというものだ。VIを解析させれば、チーム内での説明や業務の引き継ぎに利用できる。作成したVIが正常に機能するかどうかのテストするための条件出しも可能だ。さらに、LabVIEWでの計測対象となるハードウェアのスペックについての情報収集も行える。なお、今後はVIの生成にも対応することを目指しているという。
Nigelは顧客からも好評だといい、Sengupta氏は「ソフトウェアの最新版をリリースした際、通常はすぐには使わずに様子を見るユーザーも多いが、今回はすぐにアップデートして使っているユーザーが多い。過去5年間で最速レベルだ」と述べた。
「Nigelからアドバイスを受けて、LabVIEWや手持ちの計測器の新しい機能、使い方を知ったという顧客もいる。Nigelによって他の製品の潜在価値を表面化できる」(Sengupta氏)
NIはソフトウェアを重点投資分野の1つとして掲げていて、2025年は新規顧客も大幅に増えているという。コラーナ氏は「約40年間、NIはソフトウェアをベースにした差別化に取り組んできた。計測業界でもAIやデータ活用が盛り上がっているが、今後もNIがキープレイヤーであるべきだと思っている」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「ソフトウェア中心」は変わらない Emerson傘下の新生NIが強調
National Instruments(NI)は2024年5月、米国テキサス州オースティンで年次イベント「NI Connect」を開催した。NIは2023年10月にEmersonに買収され、現在はEmerson傘下の企業になっている。新たな国際規格に対応したEMC試験サービスを開始、OEG
OKIエンジニアリング(OEG)は、次世代自動車部品に向けた「1000kHz対応磁界イミュニティ試験サービス」を2025年8月19日より始めた。これまで海外の試験所に依頼していた高周波数帯域の磁界イミュニティ試験が国内で行える。このため電装品メーカーは、評価コストの削減や開発期間の短縮が可能となる。ウエハーの傷にだけ色付けして撮影、検査スピードは数百倍に 東芝
東芝情報システムは「TECHNO-FRONTIER 2025」に出展し、半導体ウエハーなどの検査装置向けの光学検査技術「OneShotBRDF」を紹介した。肉眼や通常のカメラでは認識困難な細かな傷や凹凸を可視化するものだ。超小型部品の欠陥をAIで検出、1分間で2000個を検査
TDKのグループ会社であるTDK SensEIは、AIを活用して製品の欠陥を高速に検出するシステム「edgeRX Vision」を開発、供給を始めた。TDK SensEI製センサーとの連係により、製造ラインにおける欠陥検出の誤り率を最小限に抑えることができ、生産効率を大幅に向上できるという。X線が見逃す実装不良も検出 超精密基板向けインサーキットテスター
タカヤは「JPCA Show 2025」に出展し、フライングプローブ式インサーキットテスター「APT-2600FD」を紹介した。同製品は「第21回 JPCA賞(アワード)」の奨励賞を受賞したものだ。