リアルな3D映像を空中に、三菱電機が新ディスプレイを開発:自由曲面ミラー1枚でクリアに表示
三菱電機は、高輝度で高精細のリアル映像を空中に表示できる空中ディスプレイ「CielVision(シエルビジョン)」を開発した。2D表示に加え、裸眼で認識できる3Dでの空中映像表示を可能にした。この技術を用いると道路や公共機関での案内表示などを任意の空間で行えるという。
光利用効率を従来比で約400%向上、高品位の空中映像表示を実現
三菱電機は2025年10月、高輝度で高精細のリアル映像を空中に表示できる空中ディスプレイ「CielVision(シエルビジョン)」を開発したと発表した。2D表示に加え、裸眼で認識できる3Dでの空中映像表示を可能にした。この技術を用いると道路や公共機関での案内表示などを任意の空間で行えるという。
既存の空中ディスプレイは、その多くが再帰反射方式を採用している。この方式はコストを抑えられるが、視認性が低いという課題があった。さらに、等倍光学系のため映像を大きくするにはそれに対応できる装置を用意する必要があるという。
開発したCielVisionは、自由曲面ミラー1枚でクリアな映像を空中に表示させる独自の「空中プロジェクション光学技術」と、空中映像のゆがみをソフトウェアで補正する「デジタル映像処理技術」を組み合わせた。これにより、視野角内の映像表示位置のばらつきを低減し、視認性の高い空中映像表示を実現した。光利用効率は従来方式に比べ約400%向上。その上、ひずみのない高品位の空中映像表示を可能にした。
さらに、2Dの空中ディスプレイ技術を応用した空中映像重畳機能によって、2枚の空中映像を同一空間に生成することができる。ゆがみのない視差画像を左右の目にそれぞれ表示させることにより、裸眼のまま視認できるリアルな3D空中映像表示を実現した。
なお、三菱電機はこの開発成果の一部を「CEATEC 2025」(2025年10月14〜17日、幕張メッセ)に出展する。
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