半導体製造の熱プレスに対応する圧力測定フィルム、富士フイルム:220℃までの高温圧力検査に対応
富士フイルムは、半導体や自動車の製造ラインにおける熱プレス工程に向けた圧力測定フィルム「高温用プレスケール100/200」を開発、販売を始めた。耐熱基材の採用などにより、220℃までの高温圧力検査に対応できる。
独自の精密塗布技術やマイクロカプセル設計技術、耐熱基材を採用
富士フイルムは2025年10月、半導体や自動車の製造ラインにおける熱プレス工程に向けた圧力測定フィルム「高温用プレスケール100/200」を開発、販売を始めた。耐熱基材の採用などにより、220℃までの高温圧力検査に対応できる。
プレスケールは、発色剤層と顕色剤層からなる。圧力が加わると発色剤層のマイクロカプセルが破れて無色の染料が飛び出す。これが顕色剤と触れ合って化学反応を起こし赤く発色する。また、圧力の大きさに応じて発色濃度が変化するという。こうした現象によって、面全体の圧力分布や圧力値を確認できる。ただ、現行のプレスケールは使用推奨温度が20〜30℃にとどまっていた。
新製品は、独自の精密塗布技術とマイクロカプセル設計技術を応用しつつ、耐熱基材を採用した。これによって高温下での誤発色やフィルムの変形を大幅に抑えられ、+220℃までの高温圧力検査が可能となった。第一弾として販売するのは使用推奨温度が+35〜+150℃で、測定可能圧力範囲が異なる2製品「100LLLW」「100LLW」。2026年2月以降には使用推奨温度が+150〜+220℃で、測定可能圧力範囲が異なる2製品「200LLLW」「200LW」を含む3製品の販売を予定している。
高温圧力検査に対応したことから、半導体製造におけるウエハーボンディング装置や基板製造にける熱プレス/ラミネート装置、包装装置のヒートシルバーなどでの利用が可能となった。
さらに、プレスケールの発色画像を解析し、圧力を数値化できるモバイルアプリ「プレスケールモバイル」についても、「高温用プレスケール」の読み取り機能を搭載した。ユーザーの検査基準に合わせて合否を自動判定できる機能も備えている。これによって、詳細なデータ分析や他拠点とのデータ共有が容易となり、圧力検査の効率向上や品質管理の強化を図ることができるという。
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