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ローム25年度上期は黒字転換 通期計画は上方修正アミューズメント向けが好調

ロームの2025年度上期(2025年4〜9月)売上高は前年同期比5.3%増の2442億円、営業損益は前年同期の9億円の赤字から76億円の黒字に、純利益は同398.9%増の103億円になった。この結果を受け、同社は通期計画を上方修正した。

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 ロームは2025年11月6日、2025年度上期(2025年4〜9月)業績を発表した。売上高は前年同期比5.3%増の2442億円、営業損益は前年同期の9億円の赤字から76億円の黒字、純利益は同398.9%増の103億円になった。民生市場のアミューズメント向けを中心に売り上げが増加。在庫による悪影響はあったものの、償却費を中心に固定費削減を進めた結果、営業黒字に転換した。

2025年度上期業績
2025年度上期業績[クリックで拡大]出所:ローム

「Switch 2」関連が好調、ラピス製品中心にけん引

 2025年度上期売上高を詳しく見ると、市場別では、民生市場でアミューズメント向けが好調で、前年同期比23.6%増の597億円と大きく伸びた。このアミューズメント向けについては2025年5月の決算発表時も「爆発的に売れるもの」として期待を見せていたもので、ロームは具体的な顧客や製品名は明かしていないが、任天堂の新型ゲーム「Nintendo Switch 2」関連とみられる。ロームは2024年に吸収合併したラピステクノロジーの技術を用いたLSI製品を中心に、本体やソフト(ゲームカード)などに向けさまざまな製品を供給しているという。

2025年度上期の売り上げ構成比
2025年度上期の売り上げ構成比[クリックで拡大]出所:ローム

 コンピュータ&ストレージ市場もサーバ向けを中心に堅調で同4.4%増の299億円に拡大した。産機も長期化していた顧客の在庫調整がおおむね解消したことに加え、エネルギー分野向けで炭化ケイ素(SiC)デバイスが欧州向け中心に伸長し、同3.5%増の307億円になった。最大の市場である自動車は前年比0.3%減の1141億円となったものの、市場としてはボトムアウトしつつあるという。また電動車(xEV)向けSiCデバイスは欧州向け中心に堅調に推移している。取引先企業の国籍別では、好調なアミューズメントの顧客が日本のため、日本が前年同期比10.2%増となっている。

 営業損益の内訳をみると売上高の増加に対して為替の悪影響(−54億円)があった他、金建値の高騰などによる材料費や在庫の影響(合わせて−191億円)がネガティブに寄与した。一方で償却費の減少や研究開発費の減少など固定費減少の効果(+155億円)があり、結果として営業損益は前年同期から85億円増となり、黒字転換した。

2025年度上期の営業利益増減分析
2025年度上期の営業利益増減分析[クリックで拡大]出所:ローム

 なお、研究開発費が前年同期比から70億円減少している理由については、SiCウエハーの8インチ化および新世代品の研究開発が一段落したことが理由だとしている。

通期計画を上方修正、ただ下期は売り上げ低迷

 ロームは今回、2025年度の通期計画について、売上高を前年比2.6%増の4600億円、営業利益を同450億円増の50億円、純利益を同590億円増の90億円とし、前回発表からそれぞれ上方修正した。ただこれは上期の業績を受けたもので、下期の見通しとしては、売上高は季節トレンドもあり全体として低迷する他、利益も金建値高等の影響から限界利益率が悪化し、赤字となる見込みだという。

 下期の売上高予想を市場別でみると、最大の市場である自動車市場は前年同期比0.6%増に成長する見通しだ。前述の通り市場はボトムアウトしつつあるが、本格的な回復は来期以降になる見込みだという。また民生その他では、上期の売り上げをけん引したアミューズメント向けが季節性要因で7〜9月にピークアウトする他、上期に好調だった白物家電向けも10月以降に減速する見通しといい、同1.8%減になる見通しだ。

通期の売り上げ見通しサマリ通期の売り上げ構成比通期の営業利益増減分析 左=通期の売り上げ見通しサマリ/中=通期の売り上げ構成比/右=通期の営業利益増減分析[クリックで拡大]出所:ローム

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