Rubyで島根を町おこし 軽量言語「mruby/c」組み込み活用事例を紹介:Ruby開発者は松江市出身
しまねソフト研究開発センター(通称ITOC)は「EdgeTech+ 2025」に出展し、Rubyを中核にしたIT産業振興、地域活性化の取り組みや、組み込み・IoTデバイス向け開発言語「mruby/c」の利活用事例などを紹介した。
Rubyを中核にした「IT町おこし」
しまねソフト研究開発センター(Shimane IT Open-Innovation Center、通称ITOC)は「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)に出展し、組み込み・IoTデバイス向け開発言語「mruby/c」の利活用事例などを紹介した。
Rubyは、まつもとゆきひろ氏によって開発された、オープンソースのプログラミング言語だ。まつもと氏が島根県松江市在住であることから、島根県では、2009年からRubyを中核にしたIT産業振興、地域活性化に取り組んでいるという。
このRubyを、組み込みシステム向けに軽量化したものが「mruby/c」だ。ITOCと九州工業大学の田中和明准教授が共同で開発したもので、プログラム実行に必要なメモリ消費量が約40kBと、1チップマイコンでも動作するため、IoTデバイスの手軽な導入に貢献する。
例えば工業用ミシンの設計、製造を行うJUKI松江では、工業用ミシンの補助装置にmruby/cを採用。従来装置と比べてサイズは50%小型化、コストは25%削減、不良率は80%低減といった効果をあげたという。
ViXionの自動でピントを調節するアイウェア「ViXion01S」も、mruby/cを採用した初のコンシューマー製品として展示されていた。ほかにもmruby/cを標準搭載したマイコンボードを用意し、島根県内の学校でのIT教育に活用するなど、さまざまな事例を紹介する。
IT企業や人材の誘致も進んでいて、2025年4月時点での島根県内のIT事業従事者は1985人にのぼるという。ITOCの担当者は「EdgeTech+を通じて、島根県のITに注力する取り組みを知ってもらいたい」と語っていた。
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