電動歯ブラシもAI対応に NordicのワイヤレスSoCが実現:充電不要スマートリングも登場
Nordic Semiconductorは「EdgeTech+ 2025」に出展し、超低電力ワイヤレスSoC(System on Chip)「nRF54シリーズ」を使ったAI対応電動歯ブラシや、パワーマネジメントIC(PMIC)「nPMシリーズ」採用の充電不要スマートリングなどを展示した。
Nordic Semiconductor(以下、Nordic)は「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)に出展し、超低電力ワイヤレスSoC(System on Chip)「nRF54シリーズ」を搭載した製品などを展示した。
AI対応の電動歯ブラシなど展示
Nordicは2025年6月に、エッジデバイス向けの完全自動化機械学習(TinyML)ソリューションを手掛けるNeuton.AIの知的財産および中核技術資産を買収した。Neuton.AIのMLモデルは5kB未満の極小サイズが特徴で、nRF54シリーズは同モデルの動作に対応している。
実際にnRF54シリーズを採用し、AIに対応したのが、ドイツのBraunの電動歯ブラシ「Oral-B iO 9/10」だ。すでに家電量販店などで販売されている製品で、歯磨きをするとAIが口腔内を16ゾーンにマッピングし、きちんと磨けているかを分析してくれるという。
ほかにも、ゲーミングマウスや子供用のGPS端末など、さまざまな製品でAIを取り入れる動きが起こっているという。「日本はまだそこまで進んでいないが、海外では5割近くの新規プロジェクトで、AIをどう活用するかが検討されているそうだ」(Nordic担当者)
2025年8月に提供開始したパワーマネジメントIC(PMIC)「nPM1304」をはじめとした、PMIC「nPMシリーズ」も紹介。Nordic製品に使われているパワーマネジメント技術を単体で製品化したもので、「Nordicといえばワイヤレス製品の印象が強いと思うが、アナログ製品も多く取り扱っている」(Nordic担当者)と語る。
nPMシリーズの採用例として、WhiteLabの充電不要なスマートリング「ソーラーリング」が展示されていた。「電流が小さくなるほどエネルギー変換の効率が悪くなる。スマートリングは小さく、薄く、丸いため、技術的には開発が最も難しいとされているが、Nordic製品はそこにも対応できる」(Nordic担当者)と自信を見せた。
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