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最新ドローンを分解 本体も中身も中国勢が圧倒:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(98)(3/3 ページ)
2025年に発売された最新ドローンを分解する。ドローン分野は中国メーカーがけん引しているが、中身のコンポーネントもほぼ中国製が占めていた。
新チップに総入れ替えした「DJI Neo 2」
図9はDJIから2025年11月に発売されたばかりの「DJI Neo 2」である。内部のプロセッサなどは前機種のNEOのものを使用せず、新チップに総入れ替えしている。LiDARも搭載され、より安全にフライトできるようになっている。DJI機はハイエンドから、エントリーモデルまで衝突回避のカメラ、LiDARを搭載する。2025年のドローンの特徴と言っていいだろう。内部はDJIの新プロセッサと、中国UNICORE社のGNSSチップ、AIC社の通信チップなど多くの中国チップが搭載されている。最終製品と半導体が一体となって開発されるチップが多いので、性能、機能面でも欧米日チップに匹敵する、もしくはそれ以上の内容となっているようだ。
日本製ドローンも中身の半導体は中国製
図10は日本のジーフォースが2025年7月に発売したドローン「LEVIO」だ。100g以下の空撮ドローンである。内部はほぼ中国チップ。通信はAIC社、マイコンはPUYA社とMM社など。中国製チップの“展示会場”のような構成になっている。多くを語りたい気持ちもあるが、分解し、エビデンスを報告することに今回も徹したい。2025年のドローン、本体も中国製が圧倒的に多いが、内部も同様に中国製が圧倒するものになっている。
次回は2025年のスマートウォッチを5機種ほど取り上げたい。
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