2030年の半導体メモリ市場は平均10%成長で3020億米ドルへ:福田昭のストレージ通信(299) 半導体メモリの行方をアナリストが解説(3)(1/2 ページ)
2025年8月に開催された「FMS(the Future of Memory and Storage)」の一般講演を紹介する。今回は、Yole Groupのシニアアナリストがメモリ市場の概況を解説する講演を取り上げる。
2025年の半導体メモリ市場(予測)は18%成長の2000億米ドル
2025年8月5日〜8月7日(米国時間)に、半導体メモリとストレージに関する世界最大のイベント「FMS(the Future of Memory and Storage)」が米国カリフォルニア州サンタクララで開催された。「FMS」はキーノート講演や一般講演、展示会などで構成される。リアル参加のみのイベントであり、オンライン参加はできない。
このほど、キーノート講演のビデオと一般講演のスライドがFMSの公式ウェブサイトで公開された。数多くある一般講演の中から、半導体メモリの市場動向と技術動向を著名なアナリストが解説した概要を、本コラムの第291回からシリーズでご紹介している。なお本記事は講演スライドの内容をご報告しているので、講演の詳細とは一致しないことがある。あらかじめご了承されたい。
本シリーズの前回は、市場調査会社TrendForceのシニアバイスプレジデントをつとめるArvil Wu氏の講演を簡単にご報告した。具体的には、DRAMの市場動向と技術動向を2026年まで予測した。
今回は、市場調査会社Yole GroupのシニアアナリストをつとめるJosephine Lau氏の講演概要をご説明する。講演タイトルは「Memory Market Overview - A 2025 Update(メモリ市場の概況:2025年の更新版)」である。
講演では始めに、半導体メモリ市場(2025年5月にYole Groupが作成、埋め込みメモリは含まない)の全体と推移を概観した。2024年の市場規模は前年比78%増の1700億米ドルと推定した。製品別の内訳(比率)はDRAM(HBMを含む)が最も大きく57%を占める。HBM単独の比率は10%である。NANDフラッシュメモリは40%でDRAMに続く。DRAMとNANDフラッシュメモリを合計した比率は97%で、半導体メモリ市場のほとんどがこれらの2製品で占められていることが分かる。
その他の製品では、NORフラッシュメモリが1.7%、不揮発性SRAMおよび強誘電体メモリ(NVSRAM/FRAM)が0.4%、次世代不揮発性メモリ(Emerging NVM)が0.1%、EEPROMその他が0.63%となっている。
同じスライドには、2020年から2025年までの市場規模推移も掲載されていた。2024年までは実績、2025年は予測である。2025年の半導体メモリ市場は18%成長の2000億米ドルに達すると予測した。
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![Yole GroupのJosephine Lau氏による講演のタイトルスライド[クリックで拡大] 出所:2025 Proceedings of FMS、Yole Group](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2512/05/mm251205_storage01.jpg)
![2024年の半導体メモリ市場(製品別比率)と市場規模の推移(2020年〜2025年)[クリックで拡大] 出所:2025 Proceedings of FMS、Yole Group](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2512/05/mm251205_storage02.jpg)