2030年の半導体メモリ市場は平均10%成長で3020億米ドルへ:福田昭のストレージ通信(299) 半導体メモリの行方をアナリストが解説(3)(2/2 ページ)
2025年8月に開催された「FMS(the Future of Memory and Storage)」の一般講演を紹介する。今回は、Yole Groupのシニアアナリストがメモリ市場の概況を解説する講演を取り上げる。
HBMが33%と高い平均成長率で2030年までのメモリ市場全体をけん引
講演では、2024年と2030年の半導体メモリ市場を比較したスライドも示された。2024年が実績(推定)、2030年が予測である。2030年の半導体メモリ市場は2024年の約1.8倍である3020億米ドルに達すると予測した。2024年から2030年までの年平均成長率(CAGR)はおよそ10%である。
製品別ではDRAMが2024年の970億米ドルから、2030年には1940億米ドルへと2倍に拡大する。年平均成長率はおよそ12%である。DRAM市場の成長をけん引するのはHBMで、2024年の174億米ドルから、2030年には980億米ドルへと大きく増加する。HBM市場の年平均成長率は約33%と極めて高い。
NANDフラッシュメモリは2024年の680億米ドルから、2030年には1010億米ドルへと増加する。年平均成長率(CAGR)はおよそ7%で、半導体メモリ全体のCAGRである10%よりも低い。
その他の製品では、NORフラッシュメモリが2024年の29億米ドルから、2030年には41億米ドルに増加するとの予測が目立つ。NORフラッシュ以外のメモリ製品市場はあまり伸びない。
HBMのビット単価は2030年にかけて上昇
参考になったのは、HBM市場を2020年から2030年まで分析したスライドである。先述のように、2024年から2030年までの市場規模(金額)は33%と高いCAGRで成長する。これに対してビット換算出荷のCAGR(2024年〜2030年)は31%とわずかに低い。言い換えると、ビット単価が上昇する。単純計算(金額/Gバイト)だと、2024年のビット単価(Gバイト単価、実績)は11.3米ドルだったのに対し、2030年のビット単価(Gバイト単価、予測)は12.9米ドルになる。
そしてウエハー処理枚数(1カ月当たり)のCAGR(2024年〜2030年)は18%とさらに低い。ウエハー処理コストの増加分よりも、売上高の増加分が大きいことがうかがえる。
(次回に続く)
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![2024年の半導体メモリ市場(実績)と2030年の半導体メモリ市場(予測)[クリックで拡大] 出所:2025 Proceedings of FMS、Yole Group](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2512/05/mm251205_storage03.jpg)
