コイン電池で駆動する低電圧な小型BLE SoC、Nordic:ヘルスケア用途向け
Nordic Semiconductor(以下、Nordic)は2025年12月、Bluetooth Low Energy(BLE)対応の無線SoC(System on Chip)「nRF54LV10A」を発表した。1.5Vの酸化銀コイン電池で直接駆動可能な低電圧設計と、シリーズ最小サイズを有し、ヘルスケア用途に適するとしている。
コイン電池で直接駆動可能
Nordic Semiconductor(以下、Nordic)は2025年12月、Bluetooth Low Energy(BLE)対応の無線SoC(System on Chip)「nRF54LV10A」を発表した。2026年第2四半期の量産開始を予定している。
NordicのBLE対応無線SoC「nRF54L」シリーズ最小となる、1.9×2.3mmサイズのチップスケールパッケージを採用。1.2〜1.7Vの電源電圧範囲に対応し、1.5Vの酸化銀コイン電池で直接駆動できるため、ウェアラブルバイオセンサーや持続型血糖測定機器(CGM)など、ヘルスケア用途に適するという。
他のnRF54Lシリーズ製品同様、2.4GHz無線や128MHz Arm Cortex-M33プロセッサ、RISC-Vコプロセッサ、ほか主要な周辺機能に加え、1MBの不揮発メモリ、192kBのRAMを搭載する。一般的なBLEユースケースでは、従来の「nRF2」シリーズと比べ、消費電力を30〜50%低減できたとする。
Nordicのショートレンジ無線担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるOyvind Strom氏は「nRF54LV10Aは、ヘルスケア分野のトレンドを反映し、次世代医療機器の主要な設計課題を解決するために設計した。CGMやウェアラブルバイオセンサーの重要な要件である、高い電力効率と小型を実現し、超小型医療機器における集積度、性能、電池寿命の新基準を築く」としている。
「世界初」低電圧動作とBluetooth Channel Sounding両立
低電圧動作とBluetooth Channel Soundingの両立を「BLE SoCとして世界で初めて」(同社)実現する。これにより、距離測定や屋内位置測定、存在検知機能をデバイスに追加して、患者のバイオセンサーを用いて位置を追跡することなどができるようになる。
セキュリティにも注力していて、Secure Boot、Secure Firmware Update、Secure Storage、Arm TrustZoneによる信頼実行環境のほか、タンパーセンサーや暗号アクセラレータも備える。
製品はすでにエンドアプリケーションの開発に利用可能で、ソフトウェア開発キットの「nRF Connect SDK」でもサポートしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
電動歯ブラシもAI対応に NordicのワイヤレスSoCが実現
Nordic Semiconductorは「EdgeTech+ 2025」に出展し、超低電力ワイヤレスSoC(System on Chip)「nRF54シリーズ」を使ったAI対応電動歯ブラシや、パワーマネジメントIC(PMIC)「nPMシリーズ」採用の充電不要スマートリングなどを展示した。
NordicがTinyMLのNeuton.AI買収 極小モデルの自動生成技術
Nordic Semiconductorが、極小機械学習(ML)モデルを完全自動生成するソリューションを手掛けるNeuton.AIを買収する。Nordicは「資源に制約のあるデバイスに対してもスケーラブルかつ高性能なAIを提供する、新たなエッジMLの時代が幕を開ける」としている。
放電を防ぐ絶縁タブが不要に、Nordic初の一次電池用PMIC
Nordic Semiconductorはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」に出展し、同社初となる一次電池用PMIC「nPM2100」のデモを公開した。
エッジAIにも使える無線マイコン ノルディック「nRF54」
ノルディック・セミコンダクターは、2024年12月に開催された「第7回スマートハウス EXPO」で、最新世代のマルチプロトコルSoC(System on Chip)「nRF54」シリーズや、既存のSoCを使ったMatterのデモなどを展示した。nRF54のハイエンド品は、エッジAI(人工知能)にも使うことができる。
Arm/RISC-Vコア搭載BLE SoC 24年9月に量産開始
Nordic Semiconductorは、「ワイヤレスジャパン 2024」(2024年5月29〜31日/東京ビッグサイト)に出展し、Bluetooth 5.4やLE Audio、Bluetooth Mesh、Thread、Matterなどの通信規格に対応した最新のマルチプロトコルSoC(System on Chip)を展示した。
