安い基板を用いたUV-B半導体レーザーでCWに成功:量産に適したサファイア基板で
学と三重大学、ウシオ電機および日本製鋼所の研究グループは、安価なサファイア基板を用いて深紫外(UV-B)半導体レーザーを開発、318nm波長で室温連続発振(CW)に成功した。医療機器や産業機器に向けた光源として期待される。
医療機器や産業機器向けの光源として普及拡大狙う
名城大学と三重大学、ウシオ電機および日本製鋼所の研究グループは2026年1月、安価なサファイア基板を用いて深紫外(UV-B)半導体レーザーを開発、318nm波長で室温連続発振(CW)に成功したと発表した。医療機器や産業機器に向けた光源として期待される。
UV-Bは波長が280〜320nmの紫外光で、医療用途などに適した波長帯だ。特に300n〜320nm波長帯は、生体分子との光化学反応を引き起こすための高い光子エネルギーを持ちながら、DNAを直接破壊しにくいという特長がある。
ただ、エキシマランプやLEDといった従来の光源は、「大型で効率が低い」「使用できる波長が制限される」など、課題もあった。このため、量産性に優れ小型で高い出力が得られる深紫外半導体レーザーの開発要求が高まっているものの、こうした要求を実現するには技術的な障壁がいくつかあった。
研究グループは今回、安価で量産性に優れたサファイア基板を用いるための課題を解決した。実験ではまず、サファイア基板上にナノピラーを形成して結晶ひずみをやわらげ、高品質のAlGaN層を作製した。この上に屈折率差を利用したリッジ導波路を設け、横方向の光閉じ込めと、低しきい値での動作を両立させた。
また、鏡面損失を低減するため、SiO2/Ta2O5多層膜からなる高反射DBRミラーをレーザーの両端面に形成。さらに、ジャンクションダウン方式でAlNサブマウントを実装し、熱拡散性を向上させた。
こうして開発したUV-B半導体レーザーは、318nmの波長で安定した室温連続発振に成功した。しきい値電流密度は4.3kA/cm2、しきい値電流は64mAだった。
今後は、実装技術やデバイス構造の最適化を図り、熱抵抗と電極抵抗のさらなる低減に取り組む。また、波長可変性を308〜311nm帯へ高めることで、光源としての用途拡大を目指す。
今回の研究成果は、名城大学理工学部材料機能工学科の岩谷素顕教授や竹内哲也教授、上山智教授、三重大学大学院工学研究科の三宅秀人教授、ウシオ電機および日本製鋼所の研究グループによるものだ。
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