IDT買収から7年、ルネサスがタイミング事業をSiTimeに売却:今後は協業も検討
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2026年2月5日、同社のタイミングデバイス事業を米SiTimeに売却すると発表した。売却額は30億米ドル(約4680億円)。ルネサスは売却の理由について「中長期的な成長を見据え、事業の優先順位をこれまで以上に明確にした上で、戦略的な取り組みに最大限の資源を投じることを狙いとしたもの」だとしている。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2026年2月5日、同社のタイミングデバイス事業を米SiTimeに売却すると発表した。売却額は30億米ドル(約4680億円)だ。
ルネサスはSiTimeの株式も取得
ルネサスのタイミングデバイス事業はもともと、2019年に米Integrated Device Technologyを約67億米ドル(当時のレートで約7300億円)で買収し獲得したもの。以降、無線インフラやAI/データセンター、産業機器などの市場に向け、製品としてはクロックジェネレータやクロックバッファー、ネットワークシンクロナイザ、ジッタアッテネータ(ジッタ減衰器)などを提供してきた。2024年の売上高は304億円だった。
ルネサスは同事業売却の理由について「中長期的な成長を見据え、事業の優先順位をこれまで以上に明確にした上で、戦略的な取り組みに最大限の資源を投じることを狙いとしたもの」(プレスリリースより)だとしている。
SiTimeはタイミングデバイスの専業メーカーで、従来の水晶技術に代わるMEMSベースの発振器や共振器、クロックジェネレーターなどを手掛ける。
ルネサス社長兼CEOの柴田英利氏は2026年2月5日に開催した決算説明会で「ルネサスのタイミングデバイス事業はまだ成長を見込めるが、技術のトレンドとしてMEMSに大きな可能性があると考えている。そのため、ベターオーナーであるSiTimeのもとで成長を志向するのが良いだろう」と説明した。
売却額の30億米ドルの内訳は現金とSiTimeの株式が50%ずつだ。柴田氏は「『売り切りでさようなら』ということではなく、MEMSタイミングデバイスが成長していく果実の一端を得られることを想定している」とした。
今後の協業も検討
事業の譲渡と合わせてルネサスとSiTimeは、SiTimeのMEMS共振器をルネサスのマイコンやSoCに統合するパートナーシップを検討するためのMoU(覚書)も締結した。これによって、ルネサスのコンピューティング技術とSiTimeのMEMSタイミング技術をシリコンレベルで統合したソリューションの共同開発を目指す。SiTimeのMEMS共振器は、マイコンやSoC(System on Chip)のダイと単一パッケージ内でベアダイとして組み合わせ可能で、基板上への個別の共振器の実装が不要になることから、設計の簡素化や省スペース化につながるとする。
今回の事業売却は2026年末までに完了する予定で、これによってルネサスが得る資金は成長投資や株主還元に充てられるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
SiTimeはルネサスのタイミング事業を手に入れるのか
ルネサス エレクトロニクスがタイミングソリューションを売却するとの報道が出ている。同事業はルネサスが2018年にIDTの買収によって受け継いだものだ。
「SDV開発の促進役」目指すルネサス 最新R-CarのデモをCESで初公開
ルネサス エレクトロニクスは「CES 2026」で、ハイエンドの第5世代車載SoC(System on Chip)「R-Car X5H」を用いたマルチドメインデモを初めて公開した。2025年半ばに出荷を開始したR-Car X5Hのサンプル品を搭載した評価ボードを用いて、先進運転支援システム(ADAS)や車載インフォテインメント(IVI)用のさまざまなソフトウェアが同時に動作する様子を披露した。
ルネサス、25年通期は減収予想 開発基盤「Renesas 365」は年内ローンチへ
ルネサス エレクトロニクスは2025年10月、2025年12月期第3四半期(7〜9月)の業績(Non-GAAPベース)を発表した。売上高は前年同期比3.2%減、営業利益は同48億円増だった。通期での売上高は前年比3.0%減、営業利益率は同1.0ポイント減と予想する。
車載半導体ランキング、首位はInfineonでルネサスは5位
フランスの市場調査会社Yole Groupによると、2024年の車載半導体市場は680億米ドル規模で、首位はInfineon Technologies。ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は5位だった。
ルネサス、Wolfspeed再建支援で25年上期は1753億円の赤字
ルネサス エレクトロニクスの2025年上期(1〜6月)の業績(Non-GAAPベース)は、売上高は前年同期比10.9%減の6334億円、営業利益は同484億円減の1757億円、当期純利益は同514億円減の1511億円だった。GAAPベースでの2025年上半期は、米Wolfspeedの再建支援として2350億円の損失を計上したことで、当期純損失が1753億円で赤字となった。
