「SDV開発の促進役」目指すルネサス 最新R-CarのデモをCESで初公開:さまざまなソフトを同時に動かす
ルネサス エレクトロニクスは「CES 2026」で、ハイエンドの第5世代車載SoC(System on Chip)「R-Car X5H」を用いたマルチドメインデモを初めて公開した。2025年半ばに出荷を開始したR-Car X5Hのサンプル品を搭載した評価ボードを用いて、先進運転支援システム(ADAS)や車載インフォテインメント(IVI)用のさまざまなソフトウェアが同時に動作する様子を披露した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は「CES 2026」(2026年1月6〜9日、米国ネバダ州ラスベガス)で、車載用SoC(System on Chip)「R-Car」第5世代品の「R-Car X5H」を用いたマルチドメインデモを初公開した。同社のHigh Performance Computing SoC Business Divison、Automotive Product LineでSenior Directorを務めるCyril Closher氏は「今回公開したデモは、R-Car X5Hを初めてシステムに統合したものとなる。われわれにとって、非常に重要なマイルストーンだ」と強調した。
R-Car X5Hは、第5世代R-Carの第1弾となる製品で、2024年11月にドイツ・ミュンヘンで開催されたエレクトロニクス展示会「electronica 2024」で発表された。先進運転支援システム(ADAS)、車載インフォテインメント(IVI)、ゲートウェイといった複数の機能を同時に実行できるマルチドメインSoCで、32個のArm Cortex-A720AE CPUコアや6個のCortex-R52ロックステップコアなどを搭載。最大400TOPSのAIアクセラレーターと、最大4TFLOPSのGPUも搭載し、R-Carの中でハイエンドな品種に位置付けられている。TSMCの車載用3nmプロセスを採用したことで、5nmプロセスを採用した製品に比べ30〜35%の低消費電力化を実現した。2025年上期にサンプル出荷を開始していて、CES 2026での公開に向け、わずか半年でシステム統合を進めたという。
さらにルネサスは2025年12月、第5世代R-Car用の開発プラットフォーム「R-Car Open Access(RoX)」の機能を拡充し、R-Car X5H用の評価ボードとソフトウェア群「RoX Whitebox」の提供を始めた。RoX Whiteboxは、R-Car X5Hの基本ソフトウェア「RoX SDK」をベースに、LinuxやAndroid、XENハイパーバイザーなどを組み合わせて使用できる。AUTOSARやEB corbos Linux、QNXなどのパートナーのOSやソフトウェアを利用することも可能だ。
今回のCESでは、このRoX Whiteboxを用いたデモを招待顧客向けに披露した。XENハイパーバイザーによる仮想化の下、パートナーのソフトウェアを含め、ADAS用やIVI用のさまざまなソフトウェアスタックを同時に動作させる様子を示した(動画1)。上段右端のディスプレイは7台のカメラで映した映像で、その隣には、これらの映像から自動車周辺の走行環境を再現したグラフィックスが映し出されている。単独のカメラの映像では死角になってしまう部分を把握できる。左から2番目は赤外線カメラの映像で、左端はゲーム映像が流れている。
下段の大きなディスプレイ(解像度は8K×2K)では、Thundersoftのスマートコックピットプラットフォーム「E-Cockpit」を表示していた。3次元の地図などをスムーズに表示していた(動画2)。さらに、VLM(Vision Language Model)をR-Car X5HのNPUで実行し、駐車中に車載カメラで不審な動きを捉えた際、その様子をテキストメッセージに書き起こし、運転者に送るといったこともできる。
Clocher氏は「第5世代R-Carの最大の特徴は柔軟性だ。自動車のE/E(電気/電子)アーキテクチャが分散型であろうと、集中型であろうと、第5世代R-Carは対応できる。第5世代R-Carによって、ADASやIVIなどの進化を促進するイネーブラーとなりたい」と語った。
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