廃太陽光パネルガラスをLiBの電極材料に転換、日本大ら:廃材の新たな用途開発を支援
日本大学や福岡工業大学、秋田大学らの研究グループは、廃棄される太陽光パネル(WSP)ガラスをリチウムイオン電池(LiB)の電極材料にアップサイクルするための技術を開発したと発表した。
1200℃で熱処理した複合材料が319mAh/gの比容量を示す
日本大学や福岡工業大学、秋田大学らの研究グループは2026年3月、廃棄される太陽光パネル(WSP)ガラスをリチウムイオン電池(LiB)の電極材料にアップサイクルするための技術を開発したと発表した。
太陽光パネルは主にセルやフィルム、前面ガラス、バックシートで構成されている。このうち、全体重量の11%未満といわれるシリコンや銀、銅などはリサイクルが進んでいる。ところが、パネル重量の70%前後を占めるといわれるフロントガラスは、経済的価値が低いなどの理由から、リサイクルが進んでいなかった。
研究グループは今回、WSP由来のガラス粉末をグラファイトと複合化し、LiBの負極活物質として活用するための手法を開発した。具体的には、活物質の作製過程に熱処理工程を導入した。これにより、WSP粒をグラファイト粒に結合させた複合構造を形成し、蓄電容量を向上させた。
ただ、過度な高温処理を行うとSiO2の形態が変化したり、グラファイト結晶構造が劣化したりして、比容量が低下することも分かった。実験の結果、1200℃で熱処理した複合材料の比容量は319mAh/gだった。SiO2系活物質としては比較的高い性能だという。実用化に向けては、容量のさらなる向上が必要とみている。
今回の成果は、日本大学工学部電気電子工学科の江口卓弥専任講師、千葉玲一上席研究員、福岡工業大学大学院の田島大輔教授、秋田大学大学院の安部勇輔助教、熊谷誠治教授らによるものである。
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