「Renesas 365」がついに始動 「不可能だった規模」の検証、数分で:まずは550超のRAシリーズを統合(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が、電子機器開発プラットフォーム「Renesas 365」の一般提供を開始した。ドイツで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2026」において記者説明会を開催し、その詳細を明かした。
デモの詳細とRenesas 365の今後
Gawne氏は会場でデモも公開した。まず示されたのは、システム設計の入り口だ。Renesas 365では、ブロック図を描く過程で入力されたインタフェースや機能要件が、そのまま設計モデルとして取り込まれる。このモデルを基に、プラットフォームは適合するマイコンを自動的に評価する。
デモでは574種類のデバイスが対象として扱われ、そのうち507種類が条件を満たす候補として提示された。ここでの評価は単なるスペック検索ではなく、各デバイスの構成を実際に設定し、要件を満たすかどうかを検証する形で行われる。従来であれば1デバイスあたり1時間程度を要し、今回のような数百デバイス規模であれば「現実的には不可能だった」作業を、瞬時に実行しているのが大きな特長だ。
デモではさらに要件を変更し、例えばCANインタフェースを追加すると、即座に再評価が行われ、候補が自動的に393デバイスに絞り込まれる様子も公開された。Gawne氏は「重要だが非常に手間がかかる作業を自動化することで、エンジニアはより高いレベルの設計に集中できるようになる」と語っていた。
また、Over-the-Air(OTA)機能の統合によって、初期設計後もRAマイコンを搭載したデバイスのソフトウェア更新や状態監視を遠隔で行うことが可能だ。これによって開発から運用までを一体化したライフサイクル管理が実現できるとしている。
また、ハードウェアとソフトウェアの設計情報はプラットフォーム上で一元管理され、変更履歴も含めて追跡可能だ。設計変更が発生した場合でも、その影響をシステム全体で把握しながら対応できるため、手戻りの削減と設計品質の向上につながる。
なお、今回は第1弾として550品種以上のRAファミリーを統合したが、将来的には全製品を追加していく方針といい、2026年後半にはRXファミリーも追加する予定だ。また、Renesas 365はオープンで拡張性の高いプラットフォームとして設計されていて、サードパーティー製の部品やセンサー、ツールを取り込むことも可能だという。同社は、複数ベンダーの製品を組み合わせたシステム設計にも対応し、柔軟なアーキテクチャ検討を支援していくとしている。
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