手のひらサイズの固体酸化物形燃料電池が可能に、太陽誘電ら:600℃まで5分で起動し手で持てる
太陽誘電は、東京科学大学未来産業技術研究所や東京理科大学、フタバ産業と共同で、高い断熱性と耐熱性を実現したカンチレバー構造の「マイクロリアクター」を開発した。これにより、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を手のひらサイズまで小型化できる。しかも内部温度が600℃以上で発電中でも、デバイスは手で持てるほど断熱性に優れているという。
内部温度が600℃以上で発電中でも、デバイスは手で持てる
太陽誘電は2025年12月、東京科学大学未来産業技術研究所や東京理科大学、フタバ産業と共同で、高い断熱性と耐熱性を実現したカンチレバー構造の「マイクロリアクター」を開発したと発表した。これにより、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を手のひらサイズまで小型化できる。しかも内部温度が600℃以上で発電中でも、デバイスは手で持てるほど断熱性に優れているという。
SOFCは、化学燃料を効率よく電気に変換できるエネルギーデバイスで、オフグリッド電源として注目されている。リチウムイオン二次電池と比べても、高いエネルギー密度が得られる。水素だけでなくエタノールやプロパンガスなど、多様な燃料を利用できるなどメリットも多い。ただ、SOFCを手のひらサイズまで小さくするにはいくつかの課題があったという。
そこで研究グループは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用い、小型の化学反応装置「マイクロリアクター」を作製し、内部に燃料ガスを導入するためのマイクロ流路を形成した。リアクター中央部には、太陽誘電が開発した「金属支持型SOFCセル」を搭載した。
このセルは、急速な昇温に耐える熱安定性を備えている。また、筐体には耐熱性樹脂を用いた3Dプリンター造形を採用、内部にアルミニウム蒸着カプトンフィルムを積層し、輻射熱を抑えた。さらに、内部ガスをクリプトン(Kr)に置き換えることで断熱性能を高めた。これらの対応によって、常温から5分以内にSOFCの動作温度である600℃以上へ昇温でき、600〜750℃という中温領域で、0.7W/cm2以上の発電特性を実現した。
発電評価用に試作したデバイスは、金属支持型セル1枚と起動用ヒーター、熱電対、多層断熱構造および、マイクロ流路を一体化している。外形寸法は約5×5×5cmで、重さは100g未満だ。
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