半導体製造を支える高純度蛍石、回収SF6ガスから生成:大型処理プラントを製作へ
住友電設は、名古屋工業大学と共同研究した成果を活用し、富山県高岡市に年間2トンの回収SF6(六フッ化硫黄)ガスを処理するための大型プラントを製作すると発表した。2026年4月からプラントの組み立てを始める。本格稼働すれば、年間2トンの回収SF6ガスから、年間3.2トンの蛍石を生成できる能力を持つことになる。
住友電設は2026年3月26日、名古屋工業大学と共同研究した成果を活用し、富山県高岡市に年間2トンの回収SF6(六フッ化硫黄)ガスを処理するための大型プラントを製作すると発表した。2026年4月からプラントの組み立てを始める。これが本格稼働すれば、年間2トンの回収SF6ガスから、年間3.2トンの蛍石を生成できる能力を持つことになる。
住友電設は、名古屋工業大学電気・機械工学類の安井晋示教授と共同で、回収SF6ガスから蛍石を生成するための処理を行うミニプラントを大学内に設け、2025年6月より実験と検証を重ねてきた。実験では、回収SF6ガスと水素ガスを混合させたガスを、1000〜1200℃に加熱し、炭酸カルシウムを充填した低温固定化炉(200℃)の中を通過させれば、蛍石(CaF2)が生成できることを確認した。
さらに、蛍石の原料となる炭酸カルシウムを日本各地から取り寄せ、分析。国産の高純度炭酸カルシウムの選定を行った結果、半導体材料やフッ素樹脂コーティングなどの原料となる純度99%以上の高純度蛍石の生成に成功した。
住友電設らは「大型プラントでは、年間2トンの回収SF6ガスから年間約3.2トンの蛍石を生成可能で、国内資源として有効活用できる」としている。
処理中に発生する硫化水素を無毒化する硫化水素燃焼装置も開発
SF6ガス処理プラントでは硫化水素が発生する。これを無毒化するための硫化水素燃焼装置も開発した。温室効果ガス「N2O」の発生を検出限界値以下に抑え、排ガス中の亜硫酸ガスをスクライバー処理して安全な排ガスに変えるという。
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