ネットワークの大規模化と高速化が電気から光への転換を促す:福田昭のデバイス通信(513) TSMCが解説する最新のパッケージング技術(10)(1/2 ページ)
「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介するシリーズ。今回は、「(4)Energy efficient of scale-up networking(ネットワークの大規模化おける消費エネルギー(転送データ当たり)の効率)」を取り上げる。
転送データ当たりのエネルギー効率が低下
2025年12月に開催された国際学会IEDMのショートコース(技術解説)で、シリコンファウンドリー最大手のTSMCが最新のパッケージング技術を説明した。講演のタイトルは「Advanced Packaging and Chiplet Technologies for AI and HPC Applications(AIおよびHPCに向けた先端パッケージング技術と先端チップレット技術)」、講演者はAdvanced Package Integration Division R&DのディレクターをつとめるJames Chen氏である。大変に参考となる内容だったので、その一部をシリーズでご紹介している。ただし講演内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演内容を筆者が適宜、補足してある。あらかじめご了承されたい。
講演「Advanced Packaging and Chiplet Technologies for AI and HPC Applications(AIおよびHPCに向けた先端パッケージング技術と先端チップレット技術)」のアウトライン[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
タイトルスライドの次に示されたアウトラインは、「AI and HPC Market Outlook(AIとHPCの市場を展望)」「Advanced Package Technology Evolutions(先進パッケージ技術の進化)」「System-Technology Co-Optimization (STCO)(システムと製造の協調最適化)」「Emerging Advanced package technology(次世代の先進パッケージ技術)」「Summary(まとめ)」となっていた。
本シリーズの第5回からは、アウトラインの第3項「System-Technology Co-Optimization (STCO)(システム・製造協調最適化)」に相当する部分の説明に入った。先進パッケージ「CoWoS-L(LSI+RDL interposer)」を例に、STCOで考慮すべき5つの項目を順に説明している。
前々回と前回は3番目の項目「(3)Thermal dissipation design(消費電力および放熱の設計)」を前後編で概説した。今回は4番目の項目「(4)Energy efficient of scale-up networking(ネットワークの大規模化おける消費エネルギー(転送データ当たり)の効率)」をご紹介する。
STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき事柄。先進パッケージ「CoWoS-L(LSI+RDL interposer)」の例[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
転送周波数の向上が銅線の伝送損失を急激に高める
銅配線や銅ケーブルなどの金属による信号接続は、距離と周波数によってビット当たりの転送エネルギーが大きく左右される。400Gbps(Gビット/秒)/レーンを前提に消費エネルギーを考えよう。
先進パッケージ「CoWoS-L」の内部では転送距離が0.2mm程度と短い。ビット当たりの転送エネルギーは0.3pJ(ピコジュール)にとどまる。パッケージ基板になると転送距離が30mm(3cm)前後と150倍に延びる。消費エネルギーは1.5pJに増加する。プリント回路基板(PCB)になると転送距離は30cmとさらに延び、消費エネルギーは6.0pJとさらに増える。
そしてプリント回路基板間を接続する銅ケーブルになると、転送距離は1m前後となり、消費エネルギーは30pJ以上とかなりの大きさになる。銅ケーブル信号チャンネルの伝送損失は120GHzで約−50dBに達する。
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![STCO(システムと製造の協調最適化)で考慮すべき5つの項目。TSMCの講演スライドに記述された項目を、筆者が和訳したもの[クリックで拡大]](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2604/03/mm260403_device03.jpg)
![データ転送距離が延び、データ転送速度(および転送周波数)が高まることで1ビット当たりの転送エネルギーと伝送損失が増加する。電気接続の限界が近づく[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2604/03/mm260403_device04.jpg)