連載
ネットワークの大規模化と高速化が電気から光への転換を促す:福田昭のデバイス通信(513) TSMCが解説する最新のパッケージング技術(10)(2/2 ページ)
「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介するシリーズ。今回は、「(4)Energy efficient of scale-up networking(ネットワークの大規模化おける消費エネルギー(転送データ当たり)の効率)」を取り上げる。
銅ケーブルを光ファイバーに置き換えて消費電力を抑制
転送エネルギー(1ビット当たり)と伝送損失の増加は、システムの消費電力を著しく高めるとともに、システム全体の消費電力コストに占めるネットワークの比率を拡大させる。
講演では、長さ2mの銅ケーブルが1000本以上でGPUが100個以下、200GbpsのSerdes(シリアライザ/デシリアライザ)で構成されるラックの消費電力は150kW以下、ネットワークの消費電力コスト比率は30%以下という従来システムの例をまず示した。
システムをGPUが100個以上、400GbpsのSerdes、長さ1m以下で1万本を超える銅ケーブルという構成に拡張すると、ラックの消費電力は500kW以上、ネットワークの消費電力コスト比率は50%を超える。ラックの消費電力は3.3倍強に増加しており、電力コストがかなり厳しい。
そこで銅ケーブルを光ファイバーケーブルで代替する。長さが10mを超える約1000本の光ファイバーケーブルに置き換えると、消費電力は300kW以下に抑えられる。そしてネットワークの消費電力コスト比率は10%以下と、劇的に低下するとした。
銅ベースのネットワーク大規模化と高速化では消費電力の限界を超えてしまう。左は従来の銅ケーブルによるネットワーク接続の例。中央はネットワークの大規模化と高速化によって消費電力が限界を超えた例。右は光ファイバー接続の導入によって消費電力を抑制した例[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
AI/HPCシステムの死命を制する消費電力・放熱設計(後編)
「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介するシリーズ。前編に続き、「(3)Thermal dissipation design(消費電力および放熱の設計)」の内容を解説する。
AI/HPCシステムの死命を制する消費電力・放熱設計(前編)
「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介するシリーズ。「(3)Thermal dissipation design(消費電力および放熱の設計)」を前後編に分けて解説する。
ミニダイ(チップレット)間接続におけるSTCO
「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介する。前回に続き、アウトラインの第3項「System-Technology Co-Optimization (STCO)(システム・製造協調最適化)」の内容を解説する。
インターポーザに複数のシリコンダイを近接して並べる2.5次元集積化
前回に続き、「IEDM 2025」におけるTSMCの講演内容を紹介する。TSMCの2.5次元パッケージング技術「CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)」において、インターポーザを低コスト化する技術を解説する。
「フラッシュメモリで」AI演算 消費電力はGPU比で1000分の1に
フローディア(Floadia)が、SONOS構造のフラッシュメモリを用いて超低消費電力で推論を行うCiM(Computing in Memory)技術を開発中だ。GPUに比べ1000分の1ほどの消費電力で積和演算を実行できるという。2025年春ごろには試作チップができ上がる。
半導体メモリの地域別市場で2番目に大きくなった中国の現状
2025年8月に開催された「FMS(the Future of Memory and Storage)」の一般講演を紹介するシリーズ。Yole Groupのアナリストが中国のメモリ市場を解説した講演を取り上げる。