東芝、「疑似量子計算機」を100倍高速化:成功確率、ほぼ100%まで向上
東芝は、独自の量子インスパイアード組み合わせ最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」における成功確率を、ほぼ100%まで向上させる新アルゴリズムを開発した。しかも、前世代のSBMに比べ10〜100倍の高速化を実現した。
「カオスの縁」を有効活用し、成功確率を飛躍的に向上
東芝は2026年4月、独自の量子インスパイア―ド組み合わせ最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」における成功確率を、ほぼ100%まで向上させる新アルゴリズムを開発したと発表した。しかも、前世代のSBMに比べ10〜100倍の高速化を実現した。
東芝は、シミュレーテッド分岐アルゴリズム(SBアルゴリズム)を2019年4月に発表。2021年2月には計算の速度と精度を向上させた第2世代のSBアルゴリズムを発表した。第3世代となる今回のSBアルゴリズムは、分岐パラメーターを従来の1個から、位置変数ごとに割り当てるよう拡張した。
第3世代SBアルゴリズムは、位置変数に依存した分岐パラメーターの制御を個別に行う。この時、非線形制御の強さを調整する非線形強度パラメーターを変えていくと、非線形強度パラメーターが小さいときには「規則的な振る舞い」となり、大きいときは「不規則な振る舞い(カオス)」を示すことが分かった。これらの境界に当たる「カオスの縁」において、大域最適解に到達する成功確率がほぼ100%まで向上することが判明した。
これらの現象は当初、2000スピン・全結合のイジング問題で確認されたが、、複数の異なる変数の問題においても、同様の現象が起こることが分かった。しかも、FPGAを超並列実装すれば、最適解または既知最良解を得るまでの時間が、第2世代SMBに比べ約100倍も速くなるという。
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