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AI/HPCの性能を左右する電源供給網の安定化(後編)福田昭のデバイス通信(515) TSMCが解説する最新のパッケージング技術(12)(2/2 ページ)

前編に続き、電源供給網を安定化する技術について解説する。データセンターの電力消費予測と、次世代の電源回路アーキテクチャ、電源供給の効率向上(損失低減)などを取り上げる。

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IVRの導入で効率が15ポイントから20ポイント向上

 従来の電源供給アーキテクチャ(プリント回路基板の定電圧回路からGPUモジュールに電源を供給する場合)と、新しい電源供給アーキテクチャ(プリント基板の定電圧回路からIVRを経てGPUに電力を供給する場合)で、効率を比較しよう。

 従来の電源アーキテクチャでは、定電圧回路モジュール(VRM)の出力電圧12VがGPUモジュールに届くまでに、20%の損失が生じる。GPUモジュールでは12Vを1V前後に降圧するため、さらに20%が失われる。GPUモジュールが受け取る電力は、元の60%に低下する。

 新しいアーキテクチャでは、VRMから先進パッケージのIVRまでの距離が短い。損失は2%にとどまる。IVRでは降圧と安定化のために10%〜15%の損失が生じる。そしてIVRからGPUモジュールまでの供給損失が3%、GPUモジュールでの降圧による損失が5%ある。GPUモジュールが受け取る電力は、元の75%〜80%となる。従来のアーキテクチャと比べ、15ポイント〜20ポイントの効率向上が見込める。


電源アーキテクチャと効率(損失)の比較。上は従来のアーキテクチャ。下はIVRを設けた新しいアーキテクチャ[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)

10MHz以下の周波数領域で電源インピーダンスが大きく減少

 「統合化定電圧回路(IVR:Integrated Voltage Regulator)」による、もう1つの重要なメリットが電源インピーダンスの低減である。前編で述べたMIMキャパシター、eDTCよりも10MHz以下の周波数領域におけるインピーダンスは低い。IVRの電源インピーダンスはピーク周波数がベースラインと同じ数十MHzにあるものの、インピーダンスのピーク値はベースラインと比べて10分の1以下に減っている。

 電源インピーダンスの低減は、電源による雑音(電源電圧変動)の低減をもたらす。高周波領域での雑音が減ることにより、高周波領域での信号品質が向上する。


統合化定電圧回路(IVR:Integrated Voltage Regulator)を組み込んだ先進パッケージの電源インピーダンス。左はパッケージの構造。右は電源インピーダンスの周波数特性(縦軸はインピーダンス、横軸は周波数)[クリックで拡大] 出所:TSMC(IEDM 2025のショートコース(番号SC1-5)で公表された講演スライドから)

(次回に続く)

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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