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2027年のメモリ市場に潜む下振れリスク――WSTS春季半導体市場予測を読み解く大山聡の業界スコープ(101)(3/3 ページ)

WSTSは2026年の半導体市場成長率予測を前年比89.9%増へ大幅に上方修正した。市場拡大をけん引するのはAI需要を背景に急成長するメモリ市場だが、その伸びの多くは価格高騰によるものでもある。本稿ではWSTSの春季予測を基に、各市場の動向を整理しながら、2027年のメモリ市場に潜む下振れリスクを考察する。

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249%成長のメモリ市場、その熱狂はいつまで続くのか

 メモリ市場の2026年成長率は前年比249.5%増という予測。前回予測では同39.4%増で、ここから大幅に上方修正されている。2026年1〜4月までの実績を見ると前年同期比264.8%増であり、この驚異的な伸び率が2026年末まで維持される、という予測となっている。

 メモリ市場は2025年9月に前年同月比50.6%増を記録した後、2026年1月には同160.2%増、4月には同359.1%増と、過去に例を見ない成長率を記録している。DRAMもNAND型フラッシュメモリもビットベースの出荷数量はあまり増えておらず、平均単価の異常な上昇によってこのような伸び率になっていることに着目したい。DRAMは2025年10〜12月期から不足状態が深刻化し、PCやスマホの生産量を引き下げる影響も出ている。しかし、DRAM大手3社の設備投資額が間違いなく過去最高水準になっていることを考えると、2026年内には需給バランスの状況に変化が現れるのではないか、と筆者は見ている。

 一方のNANDフラッシュは、2026年1〜3月期から不足状態が始まった。こちらはキオクシアが高速SSDを2026年1〜3月期に市場に投入したことで、一気に需要が活気づいた。SanDiskも2026年内に高速SSDを市場に投入すると思われるが、こちらもキオクシア製NANDフラッシュを搭載することになる。これに対してDRAM大手3社は、DRAMへの投資を優先してNANDの製品開発や投資が後手に回り、年内は高速SSDを出荷できそうにない。NANDフラッシュの需給バランスが緩和するのは、2027年後半以降ではないか、と筆者は予測している。

 これらの状況を考えると、2026年のメモリ市場は、前年比200%を超える予測が妥当と思われる。一方で2027年は前年比32.1%増という予測だが、筆者はマイナス成長もあり得る、という見方をしている。DRAMの単価上昇が異常なレベルであり、この状況が長く続くとは思えないのだ。2026年内にDRAM需給バランスが少しでも緩和する動きが見られれば、現在大きく膨らんでいる(と思われる)仮需は一気に縮小するだろう。極めて予想しにくい状況ではあるが、DRAM市場は2027年には下降局面、NANDフラッシュは2028年が下降局面、というのが筆者の予想である。

2027年は失速も? メモリ依存が高まる半導体市場の行方

 全体の結論として、2026年の半導体市場成長率は89.9%増というWSTSの予測は妥当だが、2027年の成長率26.6%増には違和感がある。メモリ市場が失速して全体的に低い伸びにとどまる、というのが筆者の率直な見方である。現在の異常なメモリ市場の盛り上がりを目の前にして「2027年はマイナス成長もあり得る」という予測は、極めて少数派であろうことは重々承知しているが、今後の動向を注意深く見守りたいものである。


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筆者プロフィール

大山 聡(おおやま さとる)グロスバーグ合同会社 代表

 慶應義塾大学大学院にて管理工学を専攻し、工学修士号を取得。1985年に東京エレクトロン入社。セールスエンジニアを歴任し、1992年にデータクエスト(現ガートナー)に入社、半導体産業分析部でシニア・インダストリ・アナリストを歴任。

 1996年にBZW証券(現バークレイズ証券)に入社、証券アナリストとして日立製作所、東芝、三菱電機、NEC、富士通、ニコン、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソニー、パナソニック、シャープ、三洋電機などの調査・分析を担当。1997年にABNアムロ証券に入社、2001年にはリーマンブラザーズ証券に入社、やはり証券アナリストとして上述企業の調査・分析を継続。1999年、2000年には産業エレクトロニクス部門の日経アナリストランキング4位にランクされた。2004年に富士通に入社、電子デバイス部門・経営戦略室・主席部長として、半導体部門の分社化などに関与した。

 2010年にアイサプライ(現Omdia)に入社、半導体および二次電池の調査・分析を担当した。

 2017年に調査およびコンサルティングを主務とするグロスバーグ合同会社を設立、現在に至る。


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