ローム、パワー半導体製造でインドのタタと協業:設計から製造までインドで完結
ロームとTata Electronics(タタ・エレクトロニクス)は、半導体事業において戦略的パートナーシップを締結した。インド市場において半導体デバイスの製造や販売チャンネルなどの機能を融合することで、半導体産業における日印関係をさらに強化していく。
将来は高付加価値パッケージの開発やマーケティング活動も共同で
ロームとTata Electronics(タタ・エレクトロニクス)は2025年12月、半導体事業において戦略的パートナーシップを締結したと発表した。インド市場において半導体デバイスの製造や販売チャンネルなどの機能を融合することで、半導体産業における日印関係をさらに強化していく。
第一弾として、ロームがインドで開発/設計した車載向け100V耐圧、300A Nch シリコン MOSFETのTOLLパッケージ品を、タタ・エレクトロニクスの工場で組み立て/検査を行い、2026年中にも量産出荷する予定だ。将来的には、高付加価値パッケージの開発や、生産した製品のマーケティング活動なども共同で行う計画だ。
ロームは、今回の取り組みはインド政府が掲げる「Make in India」構想や、「Designed in India,Manufactured in India」という理念を具現化するものだと説明。両社はインド国内で設計、開発、製造を完結させることで付加価値を高め、市場に最適化された製品を安定的に供給できる体制を整えていく。
左からローム執行役員マーケティング本部長の高嶋純宏氏、同取締役常務執行役員パワーデバイス事業担当の伊野和英氏、タタ・エレクトロニクス米国事業プレジデント兼グローバルセールスヘッドのSteve Ghanayen氏[クリックで拡大]出所:ローム
タタ・エレクトロニクスのCEOである務めるRandhir Thakur氏は「当社は先進的なパッケージングサービスを提供し、ロームのインドおよび世界市場に向けた製品の開発をサポートしていく」とコメント。ロームの取締役で常務執行役員を務める伊野和英氏は「インドで製造するパッケージ製品のラインアップを拡充するとともに、地域に根差した持続可能なサプライチェーンの構築を目指す」とコメントしている。
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